世界社会フォーラム活動した日本人たち=日頃の実践の成果=世界に向け発信

2月15日(土)

 [既報関連]去る一月末に開かれた「世界社会フォーラム」には、ブラジルやラテンアメリカ諸国をはじめとする百五十六カ国から、五千七百十七団体、約十万人の参加者が集まった。スイスのダボスで開かれていた「世界経済フォーラム」を強烈に意識しながら、「もう一つの世界は可能だ」というテーマの下、多種多様なセミナーや講演会が開かれた。その中でも、世界に向けて情報を発信していた日本人、日系人の活動を紹介する。
■世界を見据える日系人■
 モニカ・新田さんとアレシャンドレ・サモジニさんはともに日系人。フォーラムではモヴィメント・ウマニスタという団体のメンバーとして、文化の多様性についてのワークショップなどを開催した。
 モニカさんはIBM社員、アレシャンドレさんはフリーランスの記者。普段は、多忙な仕事の合間を縫って、語学講座や大学受験のための講座などを提供するボランティアを行っている。
国際的な活動をする度に、「自分が日系人であることを、より強く感じる」。イタリア人との混血のため、外見は日系人離れして見えるアレシャンドレさん。「アフリカ、アジア、日本などに自分たちの活動を伝えたい」と話していた。
■ファヴェーラ住民団体で働く日本人青年■
 モンチ・アズール住民協会は、サンパウロ市郊外のファヴェーラで教育活動などを行っている。スラムでの活動の成功例として、国際的にも注目されている。世界社会フォーラムには今回が初参加だったものの、開催したワークショップは連日満員、圧倒的な好評を博した。
 昨年六月から同協会で働いている蓑田竜史さんは、同協会の歴史を紹介する劇に出演した。「ファヴェーラでの文化活動に対して、観客が感動しているのがわかった」と感想を話す。「初めて住民との一体感を覚えた」とも。劇が終わった後は、観客が総立ちになって拍手を送った。
 もう一人の日本人ボランティア、藤井雅規さんは、去年四月から働き始め、「日本ブラジル祭」など数々のイベントを行ってきた。今回はその経験を、世界中からの参加者の前で発表した。
 藤井さんは、子供でいられる時代の大切さや、モンチ・アズールが「友愛」という信念に基づき、他の地区の人々のために活動を始めていることを説明した。本人も、「モンチでの生活を通して、世界に対して目が開かれた」と語る。
■船旅で国際交流■
国際交流を目的とした世界一周航海旅行を、二十年以上も主催している「ピースボート」。同団体は、約三カ月の航海を年に三回行っている。今回は現在航海中の船から一部の乗客が下船し、フォーラムに参加した。
今回ブラジルに寄った船は、昨年十二月十五日に東京を出港した。約五百人の乗客を乗せ、既に香港、ベトナム、セイシェル、モンバサ、ケープタウン、ナミビアなどに寄港した。参加者には若者が多く、船上で講演会を聞いたり、寄港地で現地の人と交流を深めたりといった活動を続けている。
航海の運営にあたる合田茂広共同代表は「乗客参加型だから、毎回が新鮮」とその魅力を語る。
 今回は、一部のスタッフが先に現地入りし、現地で準備を進めていた。それに加えて、興味のある乗客約七十人が下船し、東アジア市民社会についてのセミナーやデモを行った。フォーラム参加後は、飛行機でブエノスアイレスまで飛び、そこで残りの乗客と合流、航海を続けた。
■日本の地道な活動■
 日本からは、日本鉄道建設公団訴訟の原告団、電気通信産業労働組合全国協議会などが参加、デモやセミナーを行った。