コラム 樹海

 サンパウロ日本人学校の児童たちにとって、グアタパラ移住地は、「また行きたい」ところである。移住地は毎年、同校小学部六年生の修学旅行先だ。昨年、一泊(ホームスティ)旅行後、一行十八人は同地文協に礼状を書いた▼美味しかったものは「日本食」「ご飯」「おにぎり」「みそ汁」。こどもの頃は、確かによそのご飯はおいしいものだ。それにしても、見事にほとんど全員揃って、「ご飯がおいしかった」だった。コメは同移住地産だったのであろうか。おにぎりは、交流会のあとに出たようだ。雰囲気もよかったのかもしれない▼ソフトボール(の試合)は負けた、相手が強かった、グアタパラ日本語学校のバンドは上手でかっこよかった、キャンプファイヤーが楽しかった、ニンニクやきのこ栽培を実地で見てためになった――それで、また行きたい、また食べたい、なのである▼十八人の一人、女子児童が「おうちでは気を使ってもらいました。ありがとうございました」と書いていた。ホームスティ先での温かいもてなしに対してのお礼である。相手方のオスピタリダーデを敏感に感じ取り、見るべきものはちゃんと見ている▼グアタパラ移住地は、自他共に認める、ブラジルでもっとも往年の〃日本〃が濃厚に残っているところだ。児童たちにはそのあたりが分かっただろうか。それぞれ、近年中に帰国する。日本に落ち着いてから、楽しかったなあ、と思い起こす機会があるのは間違いあるまい。
(神)

03/02/21