これも特産品になりそう=イグアスー移住地 マカダミア・ナッツ

2月27日(木)

 [既報関連]高級な乾燥果実として知られ、一本の木で百年間も収穫できるというマカダミア・ナッツが、パラグァイのイグアスー移住地で大豆のオーロラ種や和牛と並んで〃特産品〃の仲間入りをしそうな勢いである。農協直営の育苗場には、一万本の苗木が健全に育っている。谷口成美さん(鳥取県出身)が桜や柿の苗木も含めて管理している。
 全パ・マカダミア・ナッツ研究協議会は、愛媛県出身の窪前勇さんが会長となって栽培普及に積極的に活動。最近発行された「パラグアイにおけるマカダミア・ナッツの栽培」によると、パラグァイに栽培の意気を吹き込んだのは、ブラジルの熱帯果樹の専門家・高山技師で、一九九〇年のこと。イグアスー農協が先陣をきり、その年にブラジルから苗木を導入した。「当時は一本十ドルもする高額な苗木だった」と窪前さんは述懐している。試行錯誤を繰り返しながら、今では苗木を自力で賄うことができるようになった。
 この果実が発見されたのはオーストラリアの東海岸で、一八五〇年のことだ。その後、ハワイ島に移植されて商品化され、ハワイ特産かのように知られるようになった。このナッツにはパルミトオレイン酸という植物油脂の中で唯一の脂肪酸が含まれている。脳内血管を活性化させ、脳卒中を予防するため、マカダミアオイルは健康食品の一つともなっている。人皮に非常になじみやすいということで、高級化粧品の原料としても使われているという。
 生産量はオーストラリア・九千トン、米国・五千四百トン、南アフリカ・二千トン、ブラジル・二百トンなどで、世界合計で二万トン(二〇〇一年推定)だ。イグアスー移住地での栽培面積は、農協直営と自営を合わせて百八十五ヘクタール、今年の収穫予想が十一トンと、世界的にはまだまだ微量だが、十年余の栽培経験から、同移住地が永年作物として適地であることが証明できた。「大豆が好調な今のうちに皆さんに栽培を奨励して将来に備えたい」と、健全に育った苗木を持つ窪前さんの手に力が入る。
 自然流の栽培で、化学肥料も農薬も一切使用していない(本紙・二〇〇二年八月十四日報道)ことも特筆に値する。イグアスー移住地は未来の躍進も視野に入れて動いている。