高齢者の〝身体〟を体験=施設の職員 介護受ける側に立つ

3月1日(土)

 「高齢者疑似体験講習会」が二十四日から二十七日まで、グアルーリョス市の特別擁護老人施設、あけぼのホーム(竹村英朗ホーム長)で開かれた。高齢者の身体的、心理的変化を学習することなどを目的にしたもの。JICAシニアボランティアの杉本和恵さんが職員に指導した。
 疑似体験とは、関節に器具をはめたり、重しをつけることなどによって、体の動きを妨げ、介護を受ける側の立場に立つこと。
 今回は、半身不随の状態での移動と歩行、アイマスクを使っての歩行を取り上げた。
 左足を固定、重りをつけると、平衡感覚が失われる。垂直に立つと、腰に負担がかかるため、健手で椅子を押しながら、頭を下げた姿勢で膝を伸ばす。 
 杖をつきながらの歩行になる。重心が左足にかかり、転倒しそうになることもある。たった五メートル移動するのに、ずいぶん時間を必要とする。
 階段の昇降も、健足、患足の順があり、一段一段に気を使う。
 アイマスクをつければ、視覚は無くなる。ちょっとした物音にも敏感に反応してしまう。介護者が、「右へ」と言っても、次の一歩をどう踏み出してよいか、分からない。
 参加者は、「入所者をみて、勝手にして、なぜやらないのかと思っていた。体が重たくて出来ないのが分かった」、「目が見えない時、介護者を信用するしかないと思った。でも、階段の最後の時は不安だった」など、成果を語った。
 実は、講習会の目的を事前に説明しなかった。期待どおりの結果を残せた。杉本さんは、「成功しました」と、満面に笑みを浮かべていた。
 この講習会は、一般向けにも、開きたい考え。老人クラブや県人会など受け入れ団体を探している。