日本食品製造を「工業」に=アグロニッポ食品 創業の内中氏死去

3月14日(金)

 ブラジルの日本食品製造業界で牽引車的存在であるアグロニッポ食品の創業者、内中幹夫氏が、十二日午後六時半、サンパウロ市内の長女の自宅で、老衰のため死去した。七十八歳だった。十三日午後四時半、アルピーナ火葬場で告別式が行われた。故人の、日本食品製造を「食品工業」の域に引き上げた功績は大きい。
 山口県大島郡出身、一九六一年渡伯、アグロニッポ食品を創業して、およそ三十年になる。日本食品製造一筋で、豆腐、ちくわ、かまぼこなどを、非日系人の間にも普及させた。大豆製品としてはほかに豆乳(商品名「ムッピー」)があり、これも広く浸透している。豆腐をプラスチックの容器にいれて小売りするなど、製造面のみならず、販売面でも先鞭をつけた。さらに、もやしをセアザでの卸しに耐えるほど多量に生産、非日系人の食卓にものせた。
 知人によれば、寝ているときでも食品製造のことばかり考えていた、といわれ、趣味はわずかにゴルフ程度だった。初七日法要は、十八日午後八時から、ピケリーの日伯寺で行われる。