コラム 樹海

 米国が十九日深夜(ブラジル時間)イラクと開戦した。第二次湾岸戦争である。なぜ、攻撃を始めたのだろう。既報のように、イラクは大量破壊兵器を廃棄することを国連で約束したにもかかわらず守らない、テロを支援する国家だ、といったあたりがその理由だ▼米国の軍事行動の底流については、諸説がある。つまり覇権主義である。最近よくきかれる「グローバリゼーション」の名のもとに、世界中を影響下におこうとしている。国連安保理の決議が割れても、我が道を行く。対イラク戦後のイラクの政権についてまで考慮している。干渉といってもいい。下世話でいえば、イラクは世界でも有数の産油国だから、戦後、親米政権をつくらせれば、原油確保に好都合、といったかんぐりまで出てくる。民族自決もなにもあったものではない▼覇権主義の根っこにあるのが、一神教といわれる。キリスト教の米国・英国も、イスラム教のイラクも一神教。自分たちの神を信じない人たちを排除する(殺す)性格がある。アングロサクソン系の民族はこの一千年、勝ち続けているという。二十一世紀においても続きそうだ▼覇権主義には、〃功罪〃がある。誤解される恐れもあろうが、戦後日本の経済的な繁栄は、米国の覇権主義の恩恵をこおむったからともいえる。イラクの戦後については、その意味で不透明だ。戦争が短期に終了するか否かについては予測できない。被害者がより少ないことを祈るのみである。   (神)

03/03/22