牧師が日会会長に=イグアスー移住地、農協も新人事

3月22日(土)

 大豆をはじめ穀物やマカダミア・ナッツなど果樹類の栽培が好調で、躍進著しいパラグァイのイグアスー移住地で、今月初め、日本人会と農業協同組合の両方で二〇〇三年度の新しい役員が選出された。日本人会の新しい会長は、栄田祐司さん(福岡県出身)で、副会長には若手のホープの一人と目される福井一郎さん(岩手県出身)が就任した。
 栄田さんは敬虔な牧師で、教育者としても広く知られている。一九六五年三月に伝道師としてブラジルに渡り、六九年にパラグァイに移動した。首都アスンシオンに三育学院を、イグアスー移住地にカデップ校を、それぞれ設立し、今でも教育一筋の人生を歩んでいるが、今回は周囲から押されて移住地日系コロニアのリーダーの役割を担うことになった。「原始林を開拓すること四十年。現在は大豆・小麦を中心に、一大穀倉地帯となったイグアスー移住地で、先輩たちの『拓魂』の精神を忘れず、日系子弟の教育と高齢者の福祉を中心に、明るい日系社会創りを目指して奉仕をさせていただきたい」と、謙虚ながら力強い抱負を披歴している。
 農協の組合長には奈良県出身の井上幸雄さんが選出された。井上さんは直前まで日本人会の会長であり、重責を担う豊富な経験が組合員から評価されたもの。東京農大OBの堤広行さんが副組合長として組合長を支えることになった。夫人の和子さんは日本語学校の教頭(本紙・三月二日既報)であり、今年は夫妻で公共の仕事で貢献することになった。
 農協事務局の要の総括参事にはピラポ農協から篠藤真喜男さんが転出してきた。井上さんは組合長就任挨拶の中で「今年度は、日本向け食品用大豆への取組みはもちろんのこと、経営基盤の強化、大豆育種事業の充実、組合員の営農改善などに取組み、(組合の)発展へと繋げていきたい」と将来を視野に入れた具体的な構想を述べ、役員と組合員一同の一致協力を呼びかけた。
 二人の新しい指導者を選出した移住地は今年も注目され続けそうである。