コラム 樹海

 水―。人が生きていくうえで必要不可欠なのは水だ。日ごろ水の恩恵を蒙りながらそのありがたみを忘れがちなのではないか。今年は国連が定めた「国際淡水年」というので、各地で水の話題が高まりつつある▼先週、日本(大阪・京都・滋賀3会場)で第三回『世界水フォーラム』が開催された。席上、水問題で顕著な業績をあげたとしてブラジルのジェルソン・ケルマン水資源庁長官が《世界水大賞》を受賞した。当国の「水」事情がにわかにクローズアップされ注目を集めたようである▼広大なブラジルはセッカ地帯もあるが、全般に水は豊富だ。世界中の淡水の一一・六%を占める恵まれた国だ。地下水も豊かで水には困らない環境下にある。ただ農薬汚染など危険性がないとは言えないし、水環境の整備は今後、より重要な課題となっていく▼専門家によれば、水の使用量の七割が農業用、残り二割は工業用水、一割が飲料などの生活用水という。人びとが日常使っている水の量は一割程度とはいっても世界には安全な水を満足に飲めない人が多数いる。その数は十億とも十二億ともいわれる▼いま穀物一トンを生産するのに一千トンの潅漑用水が必要だという。例えば百万トンの大豆を輸出すれば同時に十億トンの淡水を輸出しているのだと仮想できる。当国における穀物の生産、輸出は伸長の一途だ。これにも豊富な水資源が一役かっている▼これからは化学物質による水汚染の防止が最大の宿題となるだろう。    (田)