嫌われる文協会長職=副会長の支持不可欠=優秀なスタッフで運営可能=改革環境整わず逃げ腰

3月29日(土)

 ブラジル日本文化協会の会長は二十八日午前現在、まだ決まっていないとされる。候補に指名された人たちが軒並み断っている。辞退する表向きの理由は、「多忙だから」というもの。本音は「堕落した文協の会長になって、自らの名を辱めたくない」からだとされる。改革が進んでも、レベルの低い副会長、理事の失敗の引責を強いられるでは、文協会長の職責を全うすることはできないというのが、本当の理由のようだ。

 二十八日現在、文協理事のシャッパ(候補者名簿)はできていると言われる。「自分は文協理事のシャッパに入っていると、電話で確認した」との証言もある。
 文協改革委員会は、過去に傷を持たない人ということで、会長候補者たちを消去法で選んでいった。汚職のうわさが絶えない政治家は最初にはねられた。渡部和夫委員長は、改革を進める立場から候補には最初から対象外とされる。最後に残った人は、人格的に問題はないが、百年祭を目の前に控えた現在、大きなプロジェクトを実現するには能力不足と反対の声もあった。それでも次善策として推薦されている。本人は「多忙」を理由にかたくなに断り続けている。
 文協改革の必要性を強く訴え、渡部委員長をかつぎ出してきた改革委員の一人は、会長辞退の理由をこう説明する。「現在の文協執行部は、文協から名刺をもらっている」、「本当に会長になる資格のある人は、文協に名刺を与える」と解釈する。日系二世の話を、直訳すると禅問答の様になる。要するに、文協会長になって名誉欲を満足させ、会長の役得を利用する人は文協会長にはふさわしくないと言っている。
 「文協に名刺をやる人」とは、自らの財力、社会的名声、地位、実力、人格を文協に投入しつつ、文協会長の職を完遂していく人のこと。接待費、交通費を文協会費から支出するようでは、情けない。
 文協会長は、副会長五人と協力してプロジェクトを作成し、文協を運営していかなければならない。いい仕事をするには副会長、理事のレベルが問われる。能力のあるスタッフと協力してはじめて成果が上がる。改革委員会が、現執行部を全員引き上げさせた理由はここにある。文協を改革するには会長とともに少なくとも副会長五人も変えなくてはならないと考えた。改革委員会が発足した当時は、役付き理事も退くべきだとの強硬な意見もあった。
 こうした意見を背景に、会長はじめ新しい執行部を選出するには時間がかかるとし、シャッパ作成期日を延ばすべきだとの主張もあった。     (玄)