コラム 樹海

 文協(ブラジル日本文化協会)の前途に一条の光が射し始めた。逞しく生まれ変ろうとする意欲と熱気が伝わってくる。やる気十分の会長、副会長、理事ら新執行部の顔ぶれをみれば、それは瞭然だ。旧態依然の体制から脱し、時代に即した組織改革は日系コミュニティの存在感に重みを加えた。一世主導から二、三世へ移り変る新時代の幕開けである▼新しい陣容の中には初めて耳にする名の人が多い。一世社会の情報のみだと当然そうなる。視点を変え二、三世の側から眺めれば、知名度の高いエリート連が少なくない。このこと一つとっても世代交替の先陣を切る文協改革の衝撃は大きい。これでいいのである▼理事四十人のうち一世は会長を含め二割の八人だ。〃片寄り人選〃との声もある。としてもこのことに気遣いすることはない。多勢に無勢とは思えぬし、何ごとも双方の良識次第で解決できよう。会長の上原幸啓さんは、先駆移民・祖先崇敬の念があつい。温厚な人柄はまとめ役に徹するタイプとみる。各界各層の意見なり注文をどう汲み上げ取捨選択するか、その手腕に期待できる▼新生文協に対し要望が二つある。第一は「経理・運営の透明性」だ。ここ何年かにみられた文協の透明度を欠く運営がどんなにコロニアをいらだたせ信頼を失なっていったか……。いま一つは「情報開示によるPR」の徹底である▼若い世代の実力は一世の想像を超えるものがあると確信し、文協を温かく見守っていきたい。          (田)

03/05/21