文協支えて半世紀=安立事務局長が退職

6月3日(火)

 「四十六年間、やってこれたのは今までの理事や事務職員のお陰です」と安立仙一事務局長は深々と頭を下げた。
 五月末をもって文協事務局長の務めを終えた安立前事務局長のお別れパーティーが三十日午後六時半から、文協ビル展示室で開かれた。 
 安立さんの希望では、事務職員だけで『ひっそり』とやる予定だったが、二十八日に開かれた理事会で上原幸啓文協会長が参加を呼びかけたため、七十人以上が集まった。
 恐縮しきりの安立さんだったが、会場は駆けつけた前、現執行部の面々、理事たちの安立さんの退職を惜しむ声に包まれた。
 安立さんを中央に上原会長、吉岡黎明副会長、大原毅評議員長、岩崎秀雄前会長、二宮正人前副会長、杉尾憲一郎前評議員長が着席、それぞれあいさつを述べた。
 上原会長は「今日の日を迎えたのは、嬉しくもあり、寂しくもある。四十六年間本当にお疲れさまでした。これからも文協改革に力を貸してもらいたい」と話した。
 職員からは感謝状と記念品が安立さんに手渡され、会場からは大きな拍手が起こった。
 畑俊雄業務第一課主任はあいさつの中で「『内助の功』として安立さんを支えてきた奥様にも感謝」と話し、安立夫人へ花束とプレゼントを送った。
 安立さんは草創期の文協の様子や、山本喜誉司初代会長の打ち立てた文協ビル構想発表が日系コロニアに与えた衝撃の様子などを話しながら、「目的のない組織は弱体化します。これからの日系コロニアが五十年、百年かかるような大構想を描いてほしい」と現執行部に希望を託した。
 「若くて有能な中島剛事務局長の就任はとても嬉しいこと。本当にみなさん、長い間ありがとうございました」と深く頭を下げた。
 中村和右前副会長の乾杯の音頭で始まったパーティーでは、四十六年間の労をねぎらう参加者たちに、対応する安立さんの晴れ晴れとした笑顔が印象的だった。
 四年間安立さんの秘書役を務めた古賀エリザベッチさんは「安立さんには色々教えてもらいました。感謝しています」と話していた。
 なお、安立さんは六、七月の二カ月間、嘱託として中島事務局長への業務引継ぎを行なう。
 【略歴】安立仙一(あだち・せんいち)。一九五六年に来伯後、日本移民五十周年記念委員会の書記として文協に就職。七十年に事務局長に就任し、「コロニアの生き字引」として現在に至る。一九三一年、北海道生まれ。