カトリック大学=PUC、チバ氏を告訴=「マリファナの巣窟」発言で=「名誉傷つける遺志なかった」=被告側弁護士が説明

6月5日(木)

 昨年、スザーニ・ヴォン・ライゾーフェン容疑者(二一)が恋人ダニエルとその兄弟クリスチアンとともに実の両親を殺害した事件で、心理学者として知られるイサミ・チバ氏がラジオ放送で「(スザーニが通っていた)サンパウロ・カトリック大学はマリファナの巣窟」と発言、これに反発した同大学(PUC)本部がチバ氏を刑事、民事の両面から訴えている。五月二十二日付、エスタード・デ・サンパウロ紙が報じている。
 チバ氏は著書『Quem ama, educa』がノンフィクション部門トップ10に二十三週間連続ランキング、また、グローボ局ニュース番組SPTVの尊属殺人に関するコメンテーターとして活躍するなど、日系屈指の著名な心理学者だ。
 昨年九月九日、スザーニ事件のコメンテーターとしてラジオ・エルドラードの生放送に出演、薬物中毒の裕福で若い女性が殺人を犯したことに対し、「PUCはマリファナの使用を容認しており、巣窟と化している」などと語った。これに対し、PUCは精神的な痛手を被ったとし、第十九中央民事法廷に損害賠償請求を提出、併せて、第二十中央刑事法廷に刑事告訴した。
 損害賠償に対してチバ氏は、すでに異議申立書をエルネスト・フレイレ弁護士を介して提出。刑事告訴に関しては、チバ、フレイレの両氏とも、その事態を把握していなかったが、第二十刑事法廷のクラウス・マロウエリ・アローヨ裁判官がすでにチバ氏に異議表明するよう通達した。
 刑事訴訟でPUCは、フェルナンド・カステロ・ブランコ弁護士事務所を通して、「チバは根拠なく大学の名誉を傷つけた」と言及。ジョゼー・エドゥアルド・マルチンス・カルドーゾ下院議員らPUC卒の著名人を召喚し大学の健全性をアピール、さらに元司法長官のジルセウ・デ・メロ法学部長とアントニオ・カルロス・マリェイロス控訴院判事も証人に加えた。
 チバ氏はエスタード紙の取材に対し、弁護士を通してでなければ、訴訟については話せないとした。エルネスト弁護士は、異議申立書はチバ氏の発言に偽りがないことが証明できるだろうと説明。「賠償公判の際、雑誌記事や、大学でのマリファナ喫煙の横行を学生自身が認めていると記した学内新聞などを提示する」とし、「誰の地位も名誉も傷つける意志はなかった」といった。