旧神戸移住センターにポ語教室=ブラジル人子女が学ぶ=かつて祖父母たちが渡航準備=建物の存在、いまなお貴重

6月11日(水)

 [神戸、既報関連]日系ブラジル人の子供たちが、かつて祖父・祖母たちがブラジルへの渡航準備をした旧神戸移住センターで、母語のポ語を学んでいる。関西ブラジル・コミュニティの主催。関係者は、移住百年に思いを馳せ、建物を活用することで、建物の存在の貴重さを改めて認識した、といっている。
 移住者たちが、日本での最後の日々を過ごした旧神戸移住センター。大震災にも耐え、さまざま新しい動きを始めている。
 建物を海外日系人会館(仮称)として、同館設立準備委員会が保存、活用しようとする運動を続け、委員会・幹事会が具体案を検討中だ。活用案のなかで重要なテーマにあげられているのが、日本で暮らしている日系人の子供たちへの母語教育の場にしようということ。
 ポ語学習教室は、去る四月初め、オープンした。開講の際、関西ブラジル・コミュニティ代表の松原マリーナさんがポ語であいさつした。「わたしたちの父母や、祖父母は昔、ここからブラジルなど南米の国々に出発しました。そして、今、あなた方がここで勉強するということはとても意義深いことです」。
 同席していた東連寺八郎氏は「この言葉を聞きながら、やがて百年を迎える移住の歴史の重みを感じるとともに、二十五万人もの人たちが出発した、この建物の存在の貴重さを改めて認識した」と語った。
 関係者は、旧移住センターに光が再び当たって、これまでの移住史を顕彰、日本に滞在中の日系人との交流の場として活用されることを願っている。
 東連寺氏は、ここ(旧センター)は、南米流の生き方「豊かに生きる」とは……を考えるのにふさわしい場所だと思う、ともいっている。
 既報のように、去る四月末には、建物の玄関の記念碑前の横に植えられたイペーが黄色い花をつけた。まだ小さい木だが、しっかり根付いているという。
 来る二十二日には、フェスタ・ジュニーナが催される。子供たちの父母やポ語教室の教師たち、ボランティアたちがその準備にはいっている。(神戸の日伯協会『ブラジル』誌)