コラム 樹海

 星野監督が率いる阪神は騎虎の勢で快進撃中である。「虎に怖いものなし」の見出しが本紙スポーツ面に躍っていたけれども、今や恐れるものなしの勢いでファンを沸かせる。宿敵・巨人ジャイアンツは二位に迫ってはいるが、その差は八・五ゲームと大きい。これまでの六十一試合で勝ち星が四十一で負けが十九。勝率は六割八分三厘の堂々たるものである▼尤も開幕に強いのはタイガースの持ち味だし、昨シーズンも「これなら優勝確実」と大騒ぎしたはいいのだが、中盤になると負け癖の疫病神が忍び寄り一年生監督の原・巨人に胴上げを許してしまったのは残念無念。と、ファンは悔しがる。だが、今年こそはーと投手の一投には熱が入るし選手らのバットも火を吐く。物干し竿を奮い大活躍した往年の藤村富士男選手の復活かと思う▼阪神には名選手が多かった。七色の変化球で鳴らしたハワイ出身の投手・若林忠志。捕手には名人・土井垣がおり一塁は別当薫。呉選手などの好選手もいて巨人・川上哲次や青バットの東急・大下弘らと張り合ったのも懐かしい。こうした世代からは少し下がるけれども遊撃手には達人と評された吉田選手がいる。後に監督として指揮し阪神に優勝旗を齎した小柄な名手だ▼あの阪神優勝からもう十八年も経つ。監督と選手の軋轢とかが重なったりで成績は「負け組」ながら今の力ならば今年は決して夢ではない。仮に優勝すれば、一千億円超の経済効果もあるそうだし、ここはひと踏ん張りを期待したい。(遯)

03/06/14