コラム 樹海

 日本の在外選挙で、来年からサンパウロ総領事館での公館投票が実現される見通しだという。過去、衆議と参議の選挙が実施され、海外在住者も投票した。但しブラジルの場合、唯一サンパウロ総領事館のみが公館投票を実施せず、有権者は郵便投票をせざるを得なかった。煩雑な手続きには誰もが往生した。「次回から投票はやめた!」の声も聞かれる始末。選挙は国民の基本的権利であり、義務だとは承知していても七面倒臭い投票方式は嫌われた。来年からそれがなくなる▼ところで過去の在外投票の実績は自慢できるものではない。海外日系新聞協会が調べた一部(五か国)対象のアンケートだと投票率は三三%であった。七割近い棄権者がいたことになる。こんなでは日本側も気乗り薄となろう。立候補者も当てにできぬ票を相手にするよりも地元の一票に重点を置く。当然、海外は二の次ぎとされる。このまま捨て置かれてはたまらない▼サンパウロ総領事館管内の登録者は一万三千人に近い。このうちの四千人ぐらいが、あの手間暇かかる郵便投票を履行してきた。したがって公館投票になれば投票率はぐっと上向こう。過去において有権者は目の前に日本国公館があるにも拘わらず郵便局に走らねばならなかった。しかも無事届き〃有効投票〃に繋がったか否か、それすら判らない。こんなイライラ投票から開放されるのは救われる▼有権者今後の課題は投票への心構えの一新だ。海外票の重みを示さねばなるまい。
    (田)

03/06/25