組合の将来を模索=JICA第2回養成研修=農協幹部日本へ

7月3日(木)

 海外日系人協会主催でJICAが支援する第二回日系農協幹部養成研修は七月十四日から八月九日まで、東京や北海道、愛知などで行なわれる。六月二十七日、同研修オリエンテーションがJICAサンパウロ支所であり、ブラジルから参加のサンミゲール・アルカンジョ南伯農業協同組合の市瀬成生さん(四三)、イビウーナ同の浜田エイジ・エリオさん(四四)、コパセントロ同の城田芳久ジョゼさん(四三)、ロンドリーナ南伯同の嶋田範男さん(四三)の各代表四人が参加、研修に対しての意気込みを語った。
 同研修は日系農協活性化セミナーに参加した国内十六農協と諸外国の参加者からメンバーを選定。農協幹部として運営にかかる知識、技術全般の習得することを目標に先進地を視察、「組織運営」「流通」「金融」など総合的に学ぶもの。二回目となる今回はボリビアから二人、パラグアイから三人、ブラジルはJICAサンパウロ支所の四人のほか、同ベレーン支所から乙幡タダユキ・ワーテルさん(三五)の計十人が参加する。
 市瀬さんは葡萄栽培をしていたが、二年前、生産が落ち込んだことをきっかけに葡萄棚を利用してアボブリーニャやマラクジャーなどを生産、「作物が地面につかないので品質のよいものがとれる」と語った。現在、ピニャール移住地の日系農家の六〇%が葡萄を生産、そのほか、ビワや柿、桃、スモモなどにも取り組んでおり、「今後は、農産物の多様化も考えられるのでは」としている。
 浜田さんはイビウーナ農協幹部として無農薬野菜を手懸けている。同農協は一日当たり、四トントラック約二十台分の出荷があるという。出荷の五割がスーパーマーケットのポン・デ・アスーカール向けとし、「日本で梱包や加工法などを学んできたい」と語った。
 城田さんは一九八三年、県費留学生として三重大学農学部で学んだ経験がある。今回は組合運営について学びたいとし、「組合員同士のコンタクトの取り方や、仕事以外に何を組合が組合員に提供しているかを知りたい」と述べた。
 嶋田さんは八五年、同じく県費で北海道大学獣医学部に留学。「日本には名産物があるが、ブラジルには明確さがない。ブラジルには農業、加工の技術はある。あとは販売力の問題」と指摘、「生産物をいかに消費者に気に入ってもらうかを学びたい」とした。
 昨年、同研修に参加した山崎ミツアキさんは、「日本は中央農協があり組織運営がしっかりしている。農家の九九%が組合員だとも。ブラジルで同じことをするのは難しいことだが、南米で交流を深めたり、情報交換したりできそう。研修に参加することで視野が広がるだろう」とエールを送った。