自信深めた「大豆食」のすすめーイグアスー移住地の人たちー日本祭への参加でー未知との遭遇克服して未来が見えた

8月8日(金)

 [既報関連]三日間で三十五万人を魅了した、ブラジル日本都道府県人会連合会(中沢宏一会長)主催による第六回日本祭りは、去る七月二十五日から二十七日までサンパウロ市で開催された(本紙・七月二十九日既報)。その会場で、豆だけでも一トンを持参、食材としての「大豆」キャンペーンに参加したパラグァイのイグアスー移住地の人たちから、生き生きとした感想が寄せられた。日本祭りにとっても、今回が国外から初めての参加で、祭りの国際化の端緒を作ったことでも評価に値する出来事であった。
 女性のリーダーをつとめたイグアスー日本人会の久保田まこと婦人部長は「初めての参加で、何もわからない状態からスタートしたため、みんな心身ともに疲れた。しかし、フェスチバルへの参加やブラジル農協婦人部連合会の皆さんとの交流を通して、多くのことを学んだ。これからの婦人部の活動に大いに活かしていきたい」と未来志向の抱負を述べた。
 同移住地から参加した総勢十八人(本紙・七月二十三日既報)の団長をつとめたイグアスー農協副組合長の堤広行さんは「来年は祭りの後に時間を取って、サンパウロの皆さんと反省会を兼ねて交流をしたい」と一年先を視野に入れた感想。
 農協青年部長の幸坂明さんは「ブラジル国民の需要や生活習慣の違いを感じた。非常に勉強になった」と移住地環境の違いを体感したようだ。
 同移住地は、遺伝子組替えでなく、タンパク質の含有量が高い「オーロラ」種の大豆の主要な生産地としても知られている。この品種は豆腐や納豆など、日本人の伝統的な食品の加工にも非常に適しているため、日本でも喜ばれて、近年では対日輸出が増加。日本祭りに参加するのは初めてのことであり、未知の手探りの中で、大豆(豆)を一トン、オーロラ原料の納豆を一千個、さらに、オーロラ豆腐で作った油揚げを冷凍して約三千枚を持参した。
 会場ではすべてが好評で売り切れた。コメも移住地から持参して、会場でご飯を炊き、稲荷寿司を作ったところ、四個入り三百五十六セットが早々と売れてしまった。
 サンパウロ市の東洋街の一角で食堂を営む北海道協会理事の木下利夫さんは「あの稲荷寿司は美味しかったね。もっと食べたかったが、最終日には手に入らなかった。残念」と述懐している。料理人が絶賛するほど、イグアスー移住地のママイたちの腕が「オーロラ」に付加価値を与えたようだ。
 このママイたちが着用した揃いのエプロン姿も来場者の注目を集めた。移住地でフランス人から絵を学んでいる山本博美さん(二世)のオリジナル・デザインで、「オーロラ」が描かれている。移住地が総出で日本祭り参加を演出した熱意が三十五万人の来訪者に感動をもたらした、と言っても過言ではない。
 つい最近、日本の厚生労働省研究班は、みそ汁や豆腐など大豆食品を多く食べる人は乳がんの発症率が低い、との調査結果を発表した(本紙・八月六日既報)。食材としての大豆はルーラ政権の〃飢餓ゼロ〃政策を支援する一方で、乳がん発症率をも低下する効用を持っている。
 日本祭りでの〃大豆〃キャンペーンを企画した県連、ブラジル農協婦人部連合会(上芝原初美会長)と呼応して、そのキャンペーンに参加することを決意したイグアスー移住地の勇気が合体、健康素材としての大豆の価値がブラジル国内でも広く認知されようとしている。