日本各地で話題沸騰=平良とみさんの舞台が来週

8月9日(土)

 来週末に開催が迫った平良とみさん、ショーロ・クラブ、大島保克さんによる昔語り舞台『ニライカナイ(海の彼方の楽園)』の入場券が好評発売されている。十六日文協、十七日沖縄県人会(ともに午後三時から)の二回公演。沖縄のみならず日本各地で話題を呼んだ顔を合わせがブラジルでもうすぐ実現する。
 ショーロ・クラブが奏でる静かなブラジル風音楽を伴奏に、平良さんがウチナーグチ(沖縄方言)で沖縄・八重山地方の民話や風習を語る。石垣出身、大島さんの島唄と三線(さんしん)が語りに絡む。夏の夕暮れ、沖縄の海辺を流れる時間がさざ波のように打ち寄せる舞台だ。
 NHKテレビ朝の連続小説「ちゅらさん」で一躍脚光を浴びた平良さんは今年七十五歳。日本でいまもっとも有名な「おばぁ」として知られる。
 十三歳で沖縄芝居の役者として歩み始め、映画、テレビ、ラジオと舞台を問わず活躍してきた。沖縄県指定無形文化財「琉球歌劇保持者」でもある。
 昔んかし、かーま昔。エーマ(八重山)の島小んかい、ニールでぃるツカサ(神女)ぬ居たんでぃ。
 語りは共通語交じりに始まり、そんな風にウチナーグチに移り変わる。始めは戸惑うかもしれない。が、聞いているうちにおばぁの心が染み込んでくるような気がしてくる、という人が大半だ。いつのまにか、平良さんの原風景に触れた気がしてくる、一人語り独特の世界だ。
 ショーロ・クラブのリーダー、笹子重治さん(五八年生まれ、ギター)は早くからブラジル音楽のギタリストとして鳴らした人物。 パウリーニョ・ダ・ヴィオラ、ナラ・レオンなど多くの来日ブラジル人アーチストとセッション。八六年からの一年間、ブラジルで活動後、秋岡欧さん(バンドリン)、沢田穣治さん(コントラバス)とショーロ・クラブを結成した。
 グループとしてのアルバムには、ジャキス・モレレンバウン、アート・リンゼイらブラジル人大物ミュージシャンが多数参加した『ブラジルアーナ』(ソニー)などがある。
 島唄の世界で若手ナンバーワンとの誉れが高いのが大島さんだ。代々「島の三弦ひき」の家に生まれ、八九年に上京。九三年に出したデビュー・アルバム『北風南風(にしかじはいかじ)』(ポリスター)の収録曲『イラヨイ月夜浜』は加藤登紀子さんらによってもカバーされた。
 海外公演の実績もあり、イギリス、アイルランド、ベルギーなど欧州各地を中心にコンサートを実現している。三作目のアルバム『我が島ぬうた(ばがすぃまぬうた)』(ビクター)では八重山民謡のみ十五曲を独りきりで歌いきり話題となった。
 入場券は主催のニッケイ新聞社(電話3208・3977)、文協(3208・1705)、沖縄県人会(3106・8823)で手に入る。二十レアル。