コラム 樹海

 北朝鮮の外務省が公式に発表した「核再処理を完了」は不気味な感じが強い。北朝鮮は「使用済み核燃料棒八〇〇〇本を再処理した」と米国には伝えていたけれども、公式談話は初めてである。しかも、再処理で得たプルトニュウムは「核抑止力に使用」と明言しているのが怖い。つまり―核兵器を造ると言っているのであり、隣の国に暮らす者にとっては嫌でも不安が高まる▼あの国は食糧不足のために三百万人が餓死し電力もまったく足りずに停電も毎日のように続く。日本を初めとする国際的なコメ支援で送られた米も庶民には配給されずに軍部や特権階級にしか届かないの実情がNGOの撮影したビデオで明らかになってもいる。こんなアンバランスの国ながら原爆を運搬するミサイルまで開発し所有している。ノドンとテポドンの二つである▼実験発射したテポドンが日本の上空を越えて太平洋に落下したときの驚きは記憶に新しい。こうした有事に備えて自衛隊はミサイル防衛に力を入れはじめたけれども、この作戦が実効性をもつためには少なくとも五年は掛かるとされ今すぐに役立つわけではない。日本が米韓と一緒に北朝鮮の核兵器開発に対し即時停止を要求しているのも、こうした危機感が国民に高くなっているからにほかならない▼露中朝を加えた六 国協議も、核開発を中止させようという会議なのである。この協議すらが、北朝鮮に振り回されるばかりで実効はなく再開の期日もが決まっていない。そんなところへ北朝鮮の「爆弾宣言」なのであり、これは重く受け止めるべきは言うを待つまい。    (遯)

03/10/04