コラム 樹海

 寝耳に水―。青天の霹靂(へきれき)とはこのことか。日本移民百周年を〃指標〃とする事業計画案が、日本で披露されていた。「決定したの?100周年事業」―センター案先走りか、コロニア不在で日本へ紹介(十日付本紙7面)を読まれた方は驚きを隠せなかったに違いない。中には腹立ちを覚えた人もいただろう▼『日伯総合センター』(日伯情報・統合・連携センター)建設の内容(同日付本紙に全文転載)を読むかぎり、これに異を唱える理由は見当たらない。これほど大きな構想を練り上げるには余程の自信があったればこそであろう。その心意気やよしだ。だからといってコロニアを聾桟敷に置いたまま、日本に出かけ公表する遣り方は納得できるものではない。上原さんは、コロニアのトップ文協の会長として説明責任がある▼日伯総合センター委員会がいつごろ発足したのかも、また上原さんがその〃代表〃だったとは寡聞にして知らない。総合センター委員会の決定自体は、誰からも指弾される筋合いはない。しかし、一方で上原さんは文協の会長でもあり、移民百年祭典の理事長でもある。けじめをどのようにつけているのか、そこが不透明だ▼上原文協会長はこれだけの大構想を何故日本へ旅立つ前に百年祭典協会で提案なり発表しなかったのか。訪日を前に急を要したとしても、日伯同時発表が不可能だったとは思えぬ。本末転倒に対してコロニアは鈍感ではない。〃驚天動地〃の後にくる諸々の余波が心配である。  (田)

03/10/15