コーヒー、発送前農薬検査=日本側、禁輸措置はとらず=今後、高くなるコスト

10月16日(木)

 【ヴァロール・エコノミコ紙十三日】ブラジル産コーヒー豆から基準値を越える農薬が検出された問題で、日伯両国関係者が今月十日、東京で会談を持った。日本はブラジル産品の輸入を禁止する意向を強めていたが、懸念された事態は免れた模様。同国産の日本市場向けの積み込みについて今後、すべてが発送前に農薬検査を受けることになった。今年中に、百八十万袋(一袋六十キロ)が対象となる見込み。各積荷につき、サンプルとして一部が検疫センター(日本)に回される。
 六月と九月にそれぞれ一件、蚊の駆除や商品の腐敗防止のために用いられるジクロボスが検出。三件目が発生すれば、日本側が強行措置をとるところだった。
 ブラジル国内での農薬検査は日本への信頼回復が目的だ。ブラジルサイドの問題ではないということを証明する意図も。「我々は使命を果たすことができた。輸入が差し止めとなれば、多大な損害が生じただろう」とリネウ・ダ・コスタ・リマ農務省農産物流通局長官は述べ、愁眉を開いた。
 日本で年間消費される六百万袋のうち三〇%をブラジルが供給。今年九月までの輸出額は九千八百万ドルで、十二月までに一億二千万ドルに達すると見込まれている。
 日本コーヒー輸入協会を主宰する三菱商事のモリオ・テラクボ氏は「ブラジルによる農薬検査は大変、ありがたいものだが、輸入禁止措置の危険がゼロになったわけではない。日本国民にも大きな懸念を与えるだろう」と危惧。「農薬が常に検出される可能性がある」と漏らす。
 カワサキ・トシアキ厚生労働省輸入品安全対策課長との会談中、リマ長官は「現在、輸送中の商品から農薬が出ても、輸入禁止措置は発動しないとの合意を得た」と明らかにした。
 テラクボ氏は今後、コストが割高になるだろうと予測する。ブラジルの輸出業者は国内検査を実施。日本の輸入業者も同様に独自のテストを行い、販売許可を得るよう義務付けられたからだ。
 日本市場の五〇%を賄うコロンビア産でも過去に一度、ジクロボスが検出された。日本側でのテストは努力義務に留まっていた。
 リマ長官は、先の二件はコンテナの中か、日本での積み下ろし後に起こったものだとみる。日本政府から照合があったおり、ブラジル農務省は、検査方法を質した上、同国では九五年以後、ジクロボスの使用を禁止していると回答したからだ。
 日本政府は検査結果を提示しながら、強硬な態度を崩さなかったので、ブラジル政府はアドルフォ・ルーツ研究所の技術者やシーラス・ブラジレイロ連邦下院議員(PMDB―MG)らからなる代表団を送った。