デカセギ子弟=さびしい「子どもの日」=残業、残業で仕事に追われる親=会話と愛情が欲しい子どもたち

10月16日(木)

 ブラジルは十二日、「子どもの日」を迎えたが、日本在住のデカセギの子どもたちは、「もっと愛情と優しさが欲しい」と親たちに要求している。デカセギの親と子どものあり方について、インターナショナル・プレス・オンラインが報じている。
 日本在住のデカセギの父親や母親が「働かなくてはならない」と言い聞かせても、子どもたちは一緒に遊んだり、優しく接したりすることを求めてくる。「学校は子どもたちの第二の家庭になりつつある」と教師、東海林宮崎ジウダさん(五〇)。「両親がもっと子どもたちに時間を費やすのが理想的」と群馬県大泉市内のブラジル系保育園園長、清水ファッチマさん(三九)もいう。
 愛知県豊田市の東保見小学校の教育指導者、岩橋カオルさん(三九)は、ブラジルの子どもたちと接するようになって三年。同小学校の児童四百八人のうちブラジル児童は九十人にのぼる。「ブラジル人の両親は、週日、家を留守にし、休日はその他のことをしなければならないため、子どもたちと遊ぶ時間がつくれないまま」と岩橋さん。「デカセギの親たちは、子どもの学校の付き合いに参加する時間もほとんどない」と語る。
 岩橋さんによると、言葉の障壁を乗り越えるためにも、家族は言語を優先し、子どもたちとその言語を用いてあらゆる会話をするべきという。また、子どもの振る舞いの、どんな変化にも注意を払う必要がある。不満や意気消沈、孤独、隔離などは将来、問題になりうるからだ。先生がそれらに気付いて両親を呼ぶと、両親はまったく子どもの変化に感づいておらず、驚くことがあるらしい。
 一方で、日本生まれのデカセギの子どもたちが両親の故国に郷愁を抱くなど、二国の文化をもって生活を修練できる利点もある。ファッチマさんは、「社会、教育者、両親が多様化した文化に相応すること」を訴えている。
 しかし、両親が日本に居住する期間を不明確にすることは、子どもの教育に対してマイナスになるともいわれている。教育者たちは、もし両親が日本に永住を決めるならば、子どもたちを日本の学校に入れる方がいいとしている。