最古の県人会、新たな一歩―鹿児島県人会90周年祝う=イタペセリカに1500人=功労者表彰して「万歳」

10月21日(火)

  最古の県人会が、新たな歴史に向け第一歩――。ブラジル鹿児島県人会(田畑稔会長)の創立九十周年記念式典が十九日、イタペセリカ・ダ・セーラ市立体育館で行われた。県人会の式典としては、初めてサンパウロ市を離れて実施されたにも関わらず、千五百人を超える県人らが来場。母県から来伯した脇田稔副知事ら百十二人の慶祝団とともに、ブラジル県人会最古の歴史を祝った。
 田畑会長が、イタペセリカ・ダ・セーラ市の名誉市民に当たることや、市長らと交流が深いことから同市が全面的に協力。会場だけでなく、送迎バス十台も無料で提供された。体育館内に、無数の花で飾り付けられた豪華特設ステージには、脇田副知事や金子万寿夫県議会副議長、玉利半三県海外移住家族会会長ら日本からの来賓とラシール・バルドゥスコ市長や佐藤宗一サンパウロ総領事館首席領事ら数多くの来賓が並んだ。
 冒頭、両国歌斉唱に続いて、先没した県人に対して一分間の黙祷。続いて田畑会長は、数多くの来賓や来場者を前に、感涙。「勤勉努力でブラジルの信頼を得た諸先輩の遺産を、次世代に受け継ぎたい」などと力強く語った。
 脇田副知事は祝辞の冒頭で、十一月に予定される奄美諸島本土復帰五十周年式典に、天皇皇后両陛下がご臨席される関係で須賀龍郎知事は来伯できない、と説明。また「県人会関係者がブラジル社会で高い評価を得ているのは、郷土に思いを馳せながら県人会を中心に活動したからこそ」などと九十年の歴史に賛辞を送った。
 続いて、脇田副知事ら来賓八人は日伯両国の親善に貢献したとして勲章がそれぞれ伝達された。さらに県人会からも西谷松夫顧問が勲章を受けた。
 若い世代に県人会活動が浸透しているだけに、歓迎の言葉では県人子弟でイタペセリカ・ダ・セーラ日本語学校の清水なつみさんが、流暢な日本語を披露。「日本語を学び、鹿児島の城山を訪れ皆さんに愛された西郷隆盛に会いたい」と挨拶すると盛大な拍手が送られた。
 異国での長年にわたる活躍に対し、鹿児島県知事からの表彰式も実施された。功労者として元会長の徳留清相談役が、八十歳以上の高齢者八十三人を代表して篭原休助さんが、在伯歴七十年以上の五十四人を代表して谷川清徳さんがそれぞれ脇田副知事から賞状を手渡された。
 また、今年は戦後移住再開五十年に当たることから、在伯五十年を迎えた十六人を代表して玉利剛志相談役が表彰された。
 母県から、文協など日系三団体に寸志が手渡された後、万歳三唱。
 最年長は九十七歳から、五世の世代となる赤ん坊を抱いた母親を含む千五百人の鹿児島県人が「万歳」「ヴィーヴァ」などと叫びながら、今後の発展を誓い合った。
 式典後に行われた祝賀会では池上忍名誉会長が乾杯の音頭を取った後、交流を深めあった。頴娃町から十二人の関係者とともに来伯した慶祝団の一人、山内廣行町長は、初の来伯。「移住した親戚二家族と会えてよかった。故郷を思う気持ちに感動した」と話していた。