コラム 樹海

 この週末「地球社会とアジアの未来」―新世紀文明創造へ日本の選択―を読んだ。科学技術連合フォーラム編になるもので内容に重みがある。石油文明の限界に視点を置いてエネルギー、食料、環境へ波及する諸問題をとりあげていて、教えられるところが多多あった▼表題のとおりアジアの未来に重点を置き、学者や専門家が執筆しているのは当然として唯一、ブラジルに関する論文が掲載されていて目をみはった。第二部の「産業経済の新秩序形成への対応」の中でサンパウロ在・森田左京氏(森田事務所代表)が『ブラジルの再生可能エネルギー』《カーボン・ニュートラルの農村電化》構想を論じ提案している▼森田氏は常に地球環境問題を意識し、その持論は明快で〃夢〃がある。ブラジルの将来のエネルギー問題はさほど心配する必要はない。最大の問題は「貧困の格差」や貧困そのものを解決することである、として電化による「貧困の撲滅」を提唱する。数ある分散型電源の中で木質バイオマス(ユーカリ・チップ)を燃料に使う外燃機関(スターリング・エンジン)をとりあげている▼このエンジンの研究が進んでいるのは米国だが、日本も百億円を投じて研究開発につとめてきた。ブラジルの人口過疎地域では二千万人の国民が電化されていないという。日本の優れた科学技術と支援によって過疎農村に灯が点じられたら…と切に思う。詳細は左記へ。(www・bizpoint・com・br・)     (田)

03/10/22