コラム 樹海

 各地の日系老人クラブが、創立三十周年を祝っている。三十年前、日系人の多い町で創設運動が推進され、軒並みといっていいほど、実現したのだ。日本から来た老人福祉の専門官、森幹郎氏や竹田昊援協相談部部長らの援協を介した強力な指導があったからだ▼当時、それまで農業一筋でやってきた日系社会の熟年層(尤も、こんな表現もなかったと思う)は、「老人クラブ活動」といわれても、「老人クラブって何だ」といった反応だった。同士が組織で楽しむという日常がなかった。森氏らは在宅健康高齢者を対象とした、活動の必要性を認識させる運動を行ったのである▼森氏は、いま自身が群馬県榛名町の施設におり、インターネットで援協の福祉活動、老人クラブ連合会、各老人クラブの動向を見守っている▼雨後のタケノコのようにできたクラブのなかには、現在、活動が停滞してしまったところもあるが、おおむね育ち、継続されている。会員が百四十人で、通常の集会でも、出席者が百二十人から百三十人という驚くべく超高率活動参加を見ることもできる。老クのほかにこんなグループ、団体の集会はほかにない▼活動内容はカラオケ、カラオケ・ダンス、ゲートボール、日本舞踊など。際立って他と違う、といったところは少ない▼活動は常に、新味を求めたい。戦前準二世の時代から、こうした活動に興味を持つ二世、戦後一世の時代へ、興味があれば独自の新しい道を切り開いていくだろう。(神)

03/10/24