輸出商品としての柿を=モジで柿生産者研修会

10月29日(水)

 ねらいは輸出に向けた良品質の柿づくり――。サンパウロ州柿生産者協会(APPC、森岡カルロス明会長)の現地研修会が二十四日、モジ・ダス・クルーゼス市のカペーラ植民地会館を主会場に開かれた。研修会には柿生産者約六十人が参加。JICAシニアボランティア、浦田昌寛さんの指導のもと、柿農場で摘蕾、摘花、摘果など実践的な研修を受けたほか、小松雹玄JICAサンパウロ支所長の講話など、熱心に聞き入っていた。
 主催したSP州柿生産者協会は二〇〇〇年、州内の柿生産の技術向上と販売の一元化を図るため、八十五人を集め設立された。このなかから十八人の有志が販売者協会(城島将男会長)を設立、富有柿輸出などに取り組んでいる。研修会は年四回行なわれているが、今年七月、協会が強く希望していたシニアボランティア派遣が実現、国際商品としての柿生産、販売の確立が期待されている。
 二十四日の現地研修会は午前、モジ市中心地から車で約十五分のカペーラ地区にある1号園地(鈴木守園主)、2号園地(倉知ヤスヒロ園主)、3号園地(小川昇園主)であった。
 浦田さんは、「今年はどこの地区でも花がたくさんついており、収穫量は多いだろう。しかし、もったいないと思って実を落とさないと、来年の花芽が少なくなり、実も小さくなる」と摘蕾、摘花、摘果の重要性を説明。「目的を達したら、常に来年の準備をすること」と述べた。
 参加者の一人は、「これまで摘蕾をしたことがなかった。剪定のやり方もまるっきり変わった。指導を受けて手入れして、その成果をみんなが一緒に待っている状態」と感想を語った。
 午後からは現地研修報告があり、アピアイ支部の樽井ジョージさん、ピエダーデ支部の川上レナートさん、ピラール支部の豊田パウロさんがそれぞれ発表。樽井さんは「これまでの柿生産の指導法を変える必要がある。経験を積んだ人と農業を始めたばかりの人とで意見を交換しあい、良品質の柿生産に努めたい」と語った。
 続いて小松支所長が「APPCの今後の活躍に期待する」と題して講話。「生産物の差別化が大切。そのために品質設定と努力が必要。また、後継者や農協幹部育成などに力を入れて欲しい」などと声援を送った。
 現在、同協会は欧州、カナダ向けに富有柿を輸出しているが、今年の生産高は三キロ入りで二十万箱、うち輸出高は四万箱。来年収穫分は生産高三十万箱、輸出高十万箱を目標に掲げている。
 また、浦田さんは生産量拡大を目指し、現在の一ヘクタールあたり十トンから日本水準の二十五トンへの増大を期待、品質向上の面では、一個あたり三百五十~四百グラムの富有柿を目標としている。なお、柿の収穫は三月初旬に始まる。