■ひとマチ点描■卓球通じて日伯交流

10月31日(金)

 「卓球レベルの向上に役立てれば」と、東京都の平林春雄さん(六三、会社社長)は毎年ブラジルの若手有望選手を預かっている。
 受け入れ始めて十三年。平林さんを頼りに訪日した選手はすでに六十人以上を数える。その多くは日系人だ。期間は一年に限定。文武両道を徹底し日本語、日本文化にも親しんでもらっている。
 午前中は練馬区にある平林さんの会社でアルバイト。午後から男子は日大豊山高校、女子は淑徳学園の部活動に参加し練習に励む。強豪校での特訓が実り、「帰国後、国際大会に出場する選手も出てきた」と喜ぶ。
 勢子夫人(六五)の小学校時代の同級生で、移住者の力石敏雄さんに頼まれたのがきっかけだった。卓球指導に情熱を燃やし三年前に亡くなったが、その意志を受け継ぎ、今後も研修制度を中止するつもりはない。
 成り行きで卓球大会のスポンサーにもなった。今年で九回目となる平林杯だ。二十五、二十六日文協体育館で開かれた同杯には州内二十数チームが参加。子供から高齢者まで約四百人が腕を競った。
 最近の不況から仕事の景気は「大低迷」と苦笑いする平林さん。ブラジル卓球界の影の功労者は、「日伯交流は道楽」と謙遜する。