在外選挙 低迷する投票数=各地公館で最低を記録=リオ総領事館126人が最多=「物珍しさ消えた」

11月12日(水)

 海外に在住する有権者が比例選に限って投票する「在外投票」も、先の衆院選で三度目。総務省が十日発表したところによると、全世界の在外選挙人登録者(約七万四千二百人)のうち投票したのは一五・九三パーセント(約一万二千人)で、前回〇一年参院選を一三・一四ポイント下回った。ブラジルではサンパウロ総領事館をのぞく七つの公館で直接投票が実施されたが、いずれの投票数も過去最低を記録。伸び悩む「在外投票」の現実がここでも浮き彫りとなった。

  リオデジャネイロ
 ブラジル国内で最多投票を記録したのはリオ総領事館。十月二十八日から同三十一日までの期間中、百二十六人が投票に訪れた。
 「管轄ではミナス、エスピリット・サントそしてリオの一部だけが郵便投票。リオのほとんどが公館投票地域となっている」ことが投票数の多さに繋がっているようだ。
 それでも前回を百三票下回った。〇〇年総選挙と比べると半減。在外選挙人名簿への登録者数はほぼ横ばいで、過去三回の選挙時で七百五十二人、七百五十五人、七百四十一人と推移。在留邦人は約二千六百人を数えるが、「全体に在外選挙への関心は薄くこれから登録者数が増えるのは難しい状況」とみている。
  ベレン
 リオに次いだのはベレン総領事館。在留邦人約千八百人のうち約五百人が登録していた時期もあったが、現在は出稼ぎなどによる転居、死亡などで四百三十人前後まで落ちこんだ。投票数にもこれが反映されており、百七十五票、百七十六票ときて、今回が百四票となっている。
 減少の原因のひとつには「前回参院選時は投票期間が九日あった。今回は四日だった」ことが挙げられる。しかし、「在外選挙への物珍しさが消え、飽きがきているのも否めないようだ」と同総領事館領事は指摘する。
  クリチーバ
 クリチーバ総領事館は八十九票とこちらも過去最低の数字を記録。〇〇年衆院選挙時は百三十七票、〇一年参院選時には百三十票だった。
 「解散選挙ということもあって各政党の公約発表が遅れた。情報不足から投票の際に判断しかねていた人が目立った」。同総領事館領事はそう投票現場での模様を振り返る。
  マナウス
 企業駐在員とその家族ら百七十二人を含む千百三十八人の在留邦人が管内に在住するマナウス総領事館は、例年投票率が高かったが今年は四十三票と低迷。選挙人登録者は百十三人で、三年前は今年の倍に当たる八十六票、前回は七十八票が集計された。
 「駐在員関係者の方があまり投票に来られなかったのが反省材料。今後は一層広報に努めたい」と同総領事館領事。また、投票者がマナウス市および近郊在住者に集中する現状を顧み、「管轄のアクレ、ロライマ、ロンドニア、アマゾニアに点在する移住地へ領事出張サービスに出かけ、選挙人登録を促すつもり」と話す。
  ブラジリア大使館
 投票期間が総領事館より一日長く設けられているブラジリア大使館は三十七票だった。公館投票地域が連邦区とアナポリス市のみであるため、投票の多くは大使館、JICA関係者で占められる。管内には邦人約五百九十人が在住。うち百十人程度が登録を済ませている。過去の投票数は七十六票、六十五票と推移してきた。
 同大使館領事は「やはり三回目ということで関心は薄くなっている。政党投票に限られている点も低迷の原因だろう」とみる。
  レシーフェ
 最多の七州を管轄に置くレシーフェ総領事館では登録者百三十人のうち二十六人が直接投票した。在留邦人は約千人でバイーア州に半数以上が居住するが郵便投票地域であり、公館での投票数に繋がってこない。
 結局レシーフェ市内に在住する百四十人ほどが現実的に公館投票可能となるが、こちらも三年前が三十四票、二年前が三十票と、回を重ねる毎にわずかながらも減ってきている。
  ポルト・アレグレ
 ポルト・アレグレ総領事館では、〇〇年総選挙の投票数二十六票を上回る二十九票を数えた。しかし、〇一年参院選より十一票減少している。同総領事館管内の在留邦人数は二千三十七人だが、登録者数は八十五人と国内の在外公館中最も少ない。
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 外務省によると、十月現在の在留邦人数は約八十七万人で、推定有権者は六十五万人。在外選挙人登録者は約七万四千二百人とされ、〇一の参院選時より推定有権者は増えているのに、登録者はほぼ横ばいだ。投票者数は〇〇年総選挙で約一万七千人、〇一年参院選では約二万二千人、今回は約一万二千人だった。過去二回の選挙では、推定有権者全体に占める投票者は四%にも満たなかったので、今回はさらに下回るものと見られる。