日本の服飾美術を見せる=州立移民資料館で展示会=樋口館長の母親の着物も

12月13日(土)

 十一月三十日から一月二十五日まで、州立移民資料館(樋口緑館長、ヴィスコンデ・デ・パラナイーバ街一三一六、モッカ区)で特別展「着物―日本の服飾美術」が開催中だ。主催は同館、ブラジル日本移民史料館(大井セリア館長)、ブラジル日本文化協会(上原幸啓会長)が後援。同展を訪ねた。

 「サンパウロ州は移民が作り上げてきた。この展示を通じて非日系の人にも、そのことを実感して欲しい」。樋口館長(二世)は、開催の意図を明かす。今年はすでにユダヤ、アルゼンチン展が行なわれ、来年はアラビアやクロアチア移民が予定されている。
 史料館の協力で二十点以上の着物や帯に加えて、日本風の庭園や日本人形なども展示されている。史料館の忠谷美宏さん(学芸員)は「着物を選択したのは、華やかで目を引きやすいから」と説明。すでに、ミナス・ジェライス州イパチンガ市、ベロ・オリゾンテ市で着物展を開催。過去二回は好評を博し、今回が三回目の展示だ。「展示は移民九十五周を記念する意味合いもある。日本文化を知らない人に着物を知って欲しい」と語った。
 州立資料館は、サンパウロ州政府により一九九三年開館、以後運営、管理されている。一八八二年から一九七八年まで、州政府の移民収容所として六十カ国に及ぶ移民を受け入れていた。樋口館長も五九年に栄養士として就職、九五年から現在まで館長として活躍している。「この特別展の開催場所はかつての事務室だった」と詳しい。
 紅や黄色の鮮やかな振袖、白無垢の一角に、藍で染めた普段使いの着物が目に入った。「これは、二五年にリベイロン・プレット近くに配耕された母の着物」と樋口館長は説明する。同館長の日本移民への思いが感じられる一角だった。
 開館時間は午前十時から午後五時まで。月曜日休館。