日系社会の未来像模索=日本祭り計画書公開=県連 大テーマ打ち出す=シンポや会議の開催も

12月16日(火)

 「大豆料理・製品をブラジルに」「百周年以降の日系社会の未来像を模索」「世界の日系人との連携を」――。来年行われる第七回フェスチバル・ド・ジャポンの全貌が、少しずつ明らかになってきた。ブラジル日本都道府県人会連合会(中沢宏一会長)は、十二日に広島県人会館で代表者会議の中で、初めて同祭りの計画書を公開し、大きな方向性をしめした。異例の早いスタートを切った今回の準備からは、執行部の熱い意気込みが伺えそうだ。

 十二日の代表者会議には、県人会の代表者など、およそ五十人が出席。新民法に伴う定款改正、日本移民百周年祭委員会への提案、フェスチバル・ド・ジャポンなどが議題に上がった。
 通常、開催年の三月ぐらいから準備活動が本格化することの多いフェスチバル・ド・ジャポン。今回は来年に向け、すでに準備が始まっている。第七回は〇四年、七月二十三日、二十四日、二十五日にサンパウロ州議会駐車場などで開催予定。すでにサンパウロ市四百五十周年記念の公式イベントにも認められた。三十五万人と主催者発表された今年を大きく上回る四十五万人の人出を来年は見込む。
 「日本移民百周年以降の日系社会」と題し、三つの事業を計画。(1)百周年記念行事を紹介したパネル展示(2)「日系社会の未来像について」のシンポジウムや講演会(3)パンアメリカン日系人協会を橋渡しに、南北米にまたがる各国の日系社会との関係をより強化するような国際会議を予定している。「最終的に、世界の日系社会と交流できれば」と中沢会長は大きな方向性を打ち出した。
 特別企画として、より多くの農業関連団体の協力を得て、ブラジル人に栄養価が高く健康食の大豆を食べてもらう「ブラジル食に大豆を」キャンペーンを行う。〇四年は、パラグアイ、コロンビア、インドネシアなどの日系農家の協力や、日本の家森幸男・京都大学名誉教授の支援を得て大豆食の普及をはかる。
 現在、主催の県連はスポンサーとなる日本政府機関、日系企業を訪問中。中沢会長は「企業側の反応はおおむね上々。すでに、トヨタ、ホンダ、サクラ中矢醤油などは参加に前向きな姿勢だ」と笑顔だった。
 なお、同代表者会議では、百周年祭典協会への提案も話し合われた。十日に栃木県人会で協議された、日系人実態調査など五案(十二日付け本紙既報)が大筋で合意された。また、新たに加わった「ブラジル日系協会」の設立、「笠戸丸」が接岸した第十四号埠頭自体への記念碑建立も併せて合意。賛同事業(県連に協力要請された事業)として、サンタクルス病院増築計画、大相撲公演、自衛隊艦隊派遣が提案される。
 例年になく早いスタートを切った日本祭り。今回しめされた方向性へ肉付けすべく、今後、具体案が検討されることになっている。