バストス=テレ・セナ詐欺で日系被害=事前に調査し巧妙な話術

12月17日(水)

 サンパウロ州バストス市の警察は、日系農業生産者らが被害を受けた転売詐欺二件の取り調べを始めた。手口はSBT局が放映するリデランサ・カピタリザソン社の宝くじ「テレ・セナ」の特別賞金の候補者に選ばれたとして金を騙し取るもの。二件の被害総額は十三万レアルにのぼっている。十日付、ニッポ・ブラジル紙が報じている。
 警察によると、バストスでの最初の事件は二月、二件目は十月初旬に発生した。手口はいずれも同じで、被害者はテレ・セナもしくはバウー・ダ・フェリシダーデの特別賞金候補者に選ばれたという電話を受け、他言すると権利を失うとして、秘密を守らされた上で銀行口座に金を振り込んでしまうというもの。
 バストスの場合、犯人のいう特別賞金は十万~百万レアルと様々。シルビオ・サントス氏の名前を使い、「特別賞金は、当選者が通常賞金を受け取らなかったために設置された」など、巧妙な話術で被害者を信用させた。
 一人目の被害者、Hさん(四〇)がテレ・セナの顧客だったことを踏まえ、警察は、犯罪組織は被害者の情報を綿密に事前収集してから犯行に及んだとみている。Hさんは二十万レアルと新車二台が当たると期待し、犯人が指示したパラナとサンパウロの銀行口座に計五万二千レアルを四回に分けて入金。二人目の被害者、Yさん(三九)の損害はさらに大きく八万レアルで、犯人には百万レアルと新車一台が当たると唆されたという。
 リデランサ社は顧客に対し、宝くじの販売は郵便局、宝くじ店でのみ販売しており、街頭に販売員を置いていないと説明。賞金が消費者から取り立てられることはなく、また、サンパウロの同社本部を除いて、賞金が取り扱われることはまずないとしている。
 同様の手口の詐欺事件が、パラナ、サンタ・カタリーナ、リオ・グランデ・ド・スル、ゴイアス、マット・グロッソ、ミナス・ジェライス、マット・グロッソ・ド・スル、マラニョン、サンパウロの各州でも確認されている。犯罪組織はこの手の詐欺に長けているが、リデランサ社の弁護士により、組織の一員がバストス市警に起訴されているという。