コラム 樹海

 イラクのサマワを視察して帰国した公明党の神崎武法・代表が「危険な印象はなかった」と語ったことで陸上自衛隊の派遣も確定的となった。神崎・代表は小泉首相との会談でも、陸自の派遣に前向きの発言をしているし早ければ一月十五日頃に先遣隊を送る方針が固まりつつある。自衛隊のイラク派遣については、国民の五二%が反対しているし政府は慎重であるべきは当然なことだ▼これまでにもカンボジアでの国連平和維持活動(PKO)やルワンダ難民救援活動などで自衛隊の海外派遣はあるし実績もある。今回はこうした国連の指揮下ではなく、テロや反米ゲリラ活動が激しいために「危険」の認識があって民主党や共社が反対しているけれども、イラクに於いて「平和地帯」と「戦争状態」とを区分けするのは究めて難しい▼政府与党・公明党の代表が現地まで出向いて「危険度」を身をもって見つめてきたのも、こうした困難さを示すものと見たい。陸自を初めとして空自も海自も、イラクに派遣するのは、給水や浄水、医療、学校などの支援に赴くのが本務であって決して「戦争をする」ためではない。このあたりを首相と政府は、もっと国民に分かりやすく説明すべきだが、一部のマスコミはさながら戦に行くの論調なのも国民の反対意識を煽っているような印象も強い▼もはや「日本だけが安全」の神話は通らないし、国際平和協力にも尽力すべき時代が到来しているの認識をもっと高めたい。独りよがりの平和論―だけで世界を歩こうとしても誰も認めないし、もう無理だと学びたい。(遯)_

03/12/23