絵筆をくわえて9年=障害乗り越え油絵制作=スザノ市のヒデオ・カイ氏=尊敬する画家は間部画伯

1月6日(火)

 身体に障害を抱えながら、芸術活動に取り組んでいる日系人がいる。スザノ市在住のアウベルト・ヒデオ・カイさんだ。スキューバ・ダイビングで頚椎を損傷、首から下の身動きがとれなくなって三十年以上経つにも関わらず、現在、口に絵筆をくわえ、油絵制作に取り組んでいる。五日付、ジアーリオ・デ・スザノ紙が報じている。

 カイさんは、事故以来、再起することに非常な困難を感じたという。「もう一度、やり直すために家族や友人に協力してくれるよう話した。そのほかに、強い信念と、再び何かをする意志が必要だ」と語っている。
 十一年前、テレビで身体障害者らの活動を支える団体、ロドリーゴ・メンデス協会の存在を知り、「何か活動するきっかけが欲しいと思い、姉妹たちにもっと情報を得るようお願いをした」と、カイさん。九年前、口に絵筆をくわえて油絵を描くことに挑戦、その結果、セスキ・ポンペイアで開催された展覧会「エスポアルテ2003」に出展するまでになった。
 絵を描く時、延長棒をつけた筆を口にくわえ、イーゼルの代わりに専用机を使用する。カイさんは、「専用の材料によって、身障者たちが、実際に横になりながら絵を描くことが可能になった。私の場合、絵画は自分で展開することのできる唯一の活動」という。「協会は私に新しい活動の機会を作ってくれた大切なところ。おかげで問題を乗り越えることができた。他の身障者たちも、自らが抱える障害に打ち勝つ何かを見つけることができると思う」とも語っている。
 カイさんの絵画制作にとって、森林や緑地帯の写真は最も感性が磨かれる素材。「自然がとても好きで、それが私の作品にも反映されている」、また、抽象画や印象派の芸術も好み、この分野の大家、故・間部学画伯を尊敬している」としている。