老人への差別は犯罪=高齢者憲章が発効=SUS医薬品を無料供給=イベント入場料は半額

1月7日(水)

 【既報関連】今月一日に施行された、六十歳以上の高齢者の人権を保護し、生活改善を目的とした高齢者憲章。日系社会でも一、二世の高齢化が進み、保健医療、社会参画、労働市場など各方面で深刻な問題になりつつあるが、同憲章により、コロニアにも一筋の光が差し込んだようだ。伯字紙各紙で報じられた高齢者憲章の要点を、項目別にかいつまんで紹介する。

 保健医療
 (1)保健統一システム(SUS)により、特に継続投薬が必要な医薬品は、政府から無料で供給。
 (2)新たに民間健康保険に加入する際、健保業者は「六十歳以上の高齢者」を理由に値上げしてはならない。憲章施行前から健保に加入している場合、既定の事項に従う。
 教育・資格
 (1)政府は六十歳以上の高齢者に対し専門教育事業を創設し、個人企業が高齢者を雇用するよう推進する責任を負う。
 娯楽・文化
 (1)芸術、文化、スポーツ、娯楽などのイベント入場料は少なくとも五〇%の値引きを行い、高齢者は会場までの交通機関を優先的に利用できる。
 労働・収入
 (1)五月一日を年金生活者に対する社会福祉年金の金額調整日に設定。
 (2)雇用において、採用の判断基準として第一に年齢を考慮(高い年齢を優先)。
 (3)六十五歳以上の高齢者で自活できない状態にある貧困者には、毎月、最低賃金(二百四十レアル)が支払われる。
 立法
 (1)法廷で争う際、六十歳以上の高齢者は訴訟や裁判手続の行程を優先的に行なうことができる。
 (2)すべての情状を考慮した上で、高齢者への差別行為は犯罪とみなす。同罪を犯した人に対し、六ヵ月から一年の禁固と罰金が課せられる。
 住居
 (1)政府の住宅政策により、公共住宅の三%が高齢者向けとなる。
 交通
 (1)都市交通機関の料金は六十五歳以上の高齢者に対し無料(身分証明証を提示)。六十~六十五歳は各地域の法律で規定してあれば無料。
 (2)州間の交通機関は、毎月の収入が最低賃金の二倍以下の高齢者に対して無料席を二席設置、席が足りなくなったら、その他の席を五〇%割引で提供。