日本語学校の崩壊=日本国内で=SNG校誌が書く

1月13日(火)

 新宿日本語学校発行の月刊誌『SNG』(江副隆愛編集発行人)が〇三年十一月号で「今、(日本の)日本語学校は音を立てて崩壊している」と書いた。転載した産経新聞の社説「留学生犯罪、放置できない段階にきた」(〇三年十二月四日付)の添え書きとして書かれたもの。同校の江副隆秀校長は、ブラジルの日本語教育の質的充実に貢献している人として知られる。
 添え書きにある、日本国内の日本語学校崩壊の経緯は――(抜粋)
 この件は、元はと言えば、中曽根元首相の「二十一世紀までに十万人の留学生を」という一言から始まっている。
 その頃、日本語学校など、誰の口の端にも上がらない社会の片隅の物好きたちの吹きだまり然とした存在だった。それが突然脚光を浴び、風に見舞われた落ち葉のように、全日本の各地に日本語学校として散らばった。留学生は金の卵とみられたのである。
 まだ校舎も先生もない幽霊校が上海まで出掛けていって、学生を募集した。一時はなんと五百五十校も数えた日本語学校である。学校数を満たすほどに就学生は来はしない。所詮学生の奪い合いになって、醜悪な人身売買の趣となった。
 一人の学生を得るために留学生斡旋業者に払う手数料はピーク時には二十五万円。学費五カ月分である。そうまでして獲得した学生は出稼ぎ目的の不登校者。酒田短大(多くの留学生は授業を受けず、風俗店でアルバイトしていた)は氷山の一角だ。
 一時、鳴りをひそめていた十万人呼び込みが復活して、十万人突破が朗報として報じられたとき、喜んだものは一体誰なのだろう。
 今、日本語学校は音を立てて崩壊している。