降って湧いた50万R$出費=捻出に頭抱える相撲連盟=ボンレチーロ球場周辺再開発で=野球、ゲートボールも影響

1月16日(金)

 移民五十周年に建設された〃ブラジルの甲子園〃とも呼ばれる日系球界伝統の球場、ボンレチーロ市営野球場周辺が、サンパウロ市居住・都市開発局(パウロ・テイシェイラ局長)のプロジェクトにより、パルケ・ド・ガット運動公園に生まれ変わる。これに伴って、相撲場、ゲートボールコートが移転することになり、代替地の選定や移転費用を巡り、関係団体に様々な波紋を投げかけている。

 ブラジル相撲連盟の赤木政敏会長は、「移転に四十万レアル、新設には屋根付きで五十万レアルかかるが、全て自費の予定だ。現在は、移転の延長を申し出ているところ」と語り、移転費用意の捻出に頭を抱えている様子だ。
 事の発端は、サンパウロ州が管理する幹線道路マージナル・チエテの路線拡張工事だ。その予定地に土俵が位置しているため、急きょ移転せざるをえなくなった。市側では拡張工事にあわせて周辺を整備し、市営公園にすることになっている。
 市営公園になるのだから費用は本来市側が負担するのが筋だが、相撲連盟に対し、「市側関係者はもともとは州管理のマージナル工事が発端。それを市側がいちいち補償できないと突っぱねた」という。
 降って湧いたように現れた五十万レアルにも上る移転費用は、相撲連盟にとって厳しい現実だ。
 一方、ブラジル・ゲートボール連合会の本藤利会長は、「コート八面と休憩場、簡単な料理ができる台所のある代替地を要請した。また、コートは平らであればあるほどいいので、他人が入らないように柵の設置を要請した。本来は、コートは使えば使うほどいいので、移転は残念。現在地は公園になる」とやはり移転を残念がる。
 また、周辺の子どもを集めて野球教室なども開催しているパウリスタ野球連盟の沢里オリビオ会長は、「野球場は基本的には変化無し。ナイターが出来るように、照明設置を市側に呼びかけている。公園が整備されて出入りしやすくなるかもしれない」とむしろ好影響を期待する。
 昨年十一月二十七日の最初の説明会で、設計担当者の建築家ラウル・ペレイラさんは関係団体を集めた。
 説明によると、タマンドゥアテ川沿いのファベーラ住民を、サッカー場と駐車場があった地域に建設中のシンガプーラ(市営の低所得者向けアパート)に収容。これに伴って、サッカー場(二面)とゲートボール場(八面)、相撲場は上記の図のように移転する。
 シンガプーラを含めた同公園の総面積は十七万五千平方メートル。ファベーラには、千二百四十九人、三百九十六家族が住む。パ野球連盟の沢里会長は「市長選挙の十月前に公園が完成するのでは」と予測している。