サンパウロ市450周年=日系作家も記念展覧会=ロゴマークの二宮さんも

1月20日(火)

 二十五日のサンパウロ四百五十年を記念して、今週は市内の各文化スペースで写真展など展覧会のオープニングが目白押し。住み慣れた街を別の角度から眺めたり、見直したりする絶好の機会だ。日系作家が参加するものを紹介すると―。
 アルヴァレス・ペンチアード街一一二番のブラジル銀行文化センターでは二月八日まで、想像の中のサンパウロをテーマに三人の写真家の作品を集めた「想像の印象」展が開催中だ。
 日系二世のエジ・コム(小宮エジソン)さんがその一人に選ばれた。普段はサッカーなどスポーツ・ジャーナリズム写真で活躍、元本紙写真部員でもある。
 影、反射をテーマに、サンパウロのアノニマス(匿名的)な表情を幾何学的な構図で捕らえた作品二十点が並ぶ。
 「人々の顔はあえてはっきりさせなかった」のは、都市に生きる人々の希薄な存在感に迫りたかったから、とエジさんはいう。
 ハート形に組み合わされたSとPのなかに、450の黄色い数字が収まっている、といえば、サンパウロ四百五十年の記念マーク。
 これをデザインした二宮セルソさんの展覧会もある。二十二日午後八時、フランセーゼス街一五三番のデコ画廊で開幕(二月二十二日まで)。電話11・289・7067。
 サンパウロの現在・過去・未来を俯瞰し表現した水彩画二十五点を展示。十五年にわたる創作の集大成になるそうだ。二世のセルソさんはサンパウロ大学などを卒業。現在は埼玉県に住み、グラフィック・デザイン、建築の分野で教鞭も取る。
 記念マークは日本滞在中に考案したもので、サンパウロ在住の友人とのインターネット上のやり取りから完成したデザインという。何千という応募を押しのけて一席に輝いたあのマーク、実は日本とブラジルの海の上で誕生していたことになる。
 「写真を撮影し始めて今年で五十五年、サンパウロの節目と重なったね」
 六十八歳になる村上カリスト寿成さんの写真三十八点が飾られるのは、パウリスタ通り一八〇四番のブラジル中央銀行ギャラリー。二十三日午後六時にオープン、二月六日まで続く。
 ヴォルピ、ジョゼ・アントニオ・ダ・シルヴァらブラジル美術界の大物と交流があり、作家の肖像、展覧会の模様を撮影した写真で本来は知られるが、今展のテーマはサンパウロの街並に焦点が絞られている。
 とはいっても、なかには市内の美術館、博物館の写真も多く含まれ、各館の展示品から、サンパウロ国際美術ビエンナーレの様子まで目に出来る。
 今回紹介した三人の展覧会は全て入場無料。