コラム 樹海

  パラナの二つの日系団体の新年祝賀会開催のことがさきごろ、送信されてきた。新年祝賀会には違いないが、そうは言わない。式典創設時の呼称そのまま「新年拝賀式」である。いうまでもなく、皇室を敬った呼称だ。日本では、おそらく死語だろう▼新年拝賀式では「御真影」(天皇皇后両陛下のお写真)に最敬礼する。昭和2ケタ生まれも十二、十三年生まれまでなら、なんのことか解る。印字しようとワープロを叩いても、拝賀式、御真影は漢字変換ができない。「ご新鋭」と変換される。結局一字ずつ印字するしかない▼さきのパラナの二団体の一つは、アサイのパルミッタール区会だった。昔ながらの新年拝賀式挙行は、アサイ郡内でも数少ないといわれる。使用した言葉は、すべて日本語だった。それが強調されていた。引き続いて行われた新年宴会のほうもおそらくそうだったのだろう▼拝賀式は、参加者全員が御真影に最敬礼しなければ、拝賀式でないし、日本語使用にもこだわっている。儀式開催をリードしているのは、すでに二世である。そして、二世たちは、こうした行事は三世、四世になると、あまり重きをおかなくなるので、いまのうちに日本の伝統行事だと教え込んで、自分たちの祖先がどうであったか、を学ばせる必要があると考えている▼日本ではなくなってしまった行事であることに思いをめぐらすことはしない。純粋に残すべき伝統行事、美しいしきたりだと考えている。余人は批評するのみである。(神)

04/01/30