宣伝をする岩手県人会=日本へ向けてパンフレット=「高齢者移住あります」=賛助会員獲得ねらう

4月7日(水)

 岩手県人会(千田曠曉会長)は、同県人会宣伝パンフレットを作成、主として日本に配布している。用紙一枚(2ページ)二色刷りで、片面に県人会の年間行事、会館の所在地状況、会館の内容・設備。もう一面は「シルバー年金移住者に関する国別比較」。明らかに、日本に向けた賛助会員獲得と関係した〃資料〃であることがわかる。事務局によれば、パンフレットはすでに日本に向け発送された。県人会会員にもそのむね通知した。

 シルバー年金移住については、ブラジルを筆頭にオーストラリア、カナダ、ポルトガル、コスタリカ、タイの六カ国の条件が比較されている。数字の出所は、Brasil Lei 8496(九二年十一月)、CNI Resolucao 15(九八年五月)、在マイアミ・コスタリカ領事館、立道和子著「年金二十一万円海外二人暮らし」など。
 ブラジルをほかの五カ国と比較すると――永住権取得は断然有利。十年毎に更新すると永住権は消えない。移住前の「銀行残高証明」は六カ国中もっとも少ない百万円。日本で受給する年金は最低月額二千ドル。生活費の推定額は六カ国中もっとも少ない月額八万円。さらに日本食食材店、日本語(言葉の問題)は不自由ない、としている。
 比較されてみると、確かにブラジルは列挙された条件の範囲ではいい。しかし、日本人がもっとも気にする「治安」については、「どうであればいいのか」物差し(ものさし)になるものがない。
 パラナ州日系人の百年祭事業のなかに「日本人村」建設がある。百年祭祭典実行当局も、ブラジルにもこうした移住の道が開けているのだと、調べをつけてのちにプロジェクトにしたものだろう。
 尤も、岩手県人会は、パラナのプロジェクトを知ってパンフレットをつくったのではない。県人会事務局の説明によれば、ブラジルに駐在した日本企業元駐在員の意見を参考にした。役員たちも協議検討し、また他県人会の会員の意見もきいた。元駐在員は、退職後ブラジルが気に入り、永住を決め実行している。
 一方、各国の「制度」比較にあたっては、日本の旧通産省のプロジェクトが下敷きにされたのはいうまでもない。
 県人会館の立地についてはすでに定評があるが、パンフレットでは、こう書いている。「サンパウロの中心地にあり、地下鉄リベルダーデ駅から徒歩五分。近くに商店街、日本食品店、レストラン、ホテル、病院、文化協会、援護協会、十余の県人会、旅行社、銀行、新聞社がある。