将来悲観 出稼ぎへ=モジの日系人 日本に8千人

4月15日(木)

 農業従事者の多いモジ・ダス・クルーゼス市近郊地域に住む日系人の多くはいま、農村部にまで広がる「経済危機」に将来を悲観、日本での出稼ぎに救いの道を見出そうとしている。十三日付「モジ・ニュース」によると、日本で働くモジ地方出身のデカセギは約八千人。ここ十年、その数に大きな変化はないが、今後、日本に出稼ぎに向かう人は増えそうだと同紙は報告する。
 来月、モジ市のある斡旋会社の仲介で訪日するグループは二百人にも上る。モジ市だけでなくブラジル全体を覆う失業問題に、将来の希望が持てず出稼ぎを決意した。彼らの夢は「日出づる国」で「毎月三千五百ドルを稼ぐこと」。二、三年後には帰国し不動産を購入するか、商売を始めたい、と口々に語っている。
 別の斡旋会社をモジ市内で経営するテレンセ・ウリアルテさんは「まだ開業して一カ月だが、来週中に十人を送る」。テレンセさん自身もデカセギだった。昨年日本から帰国し奥さんのクリスチーナ・チエミさんと斡旋業に乗り出した。
 自動車会社系列の電気電子工場、食品加工業、建築業、病院、造船業など、デカセギの受け入れ先はさまざまな業界に及ぶが、二人によれば、電気電子関係が最も高い給料を得られるそうだ。夫婦共働きであれば月収一万一千ドルも期待できるという。
 しかし、デカセギの七割は航空券、書類や入国税などにかかる諸経費およそ二千八百ドルが一括払いできないそうだ。四カ月から六カ月の分割払いは普通だ。
 モジ市内に斡旋業者は二十以上を数える。テレンセさんは「中には市役所に登録していない業者も。行政監査が行き届いていないので、プロ意識のない悪徳業者も少なくない」と困惑する。
 四年前に斡旋業を始めたイトー・ミツオ・ルイスさんに今後の見通しを聞いた。
 「五月には日本で仕事が増えるが、四月は日本の工業高校を卒業した若者が、労働市場に流れ、デカセギ需要は一時的に落ち込むだろう」
 また、「ここモジでも景気の低迷から、将来を悲観する多くの人が出稼ぎを希望している。でも日本経済の現況は輸出より輸入。デカセギの労働力を必要とする輸出業界が落ち込んでいるので、多少ブレーキがかかっている」とも。
 サンパウロ総領事館では昨年、観光・労働あわせて二万四千件の査証を発行している。だが、ニューヨークでのテロ事件以降、査証審査が一段と厳しくなっているのは明白だ。