メダルラッシュに期待大=アテネ五輪 ブラジル柔道=代表8選手 決まる=「史上最強」、女子は石井に勝機

4月16日(金)

 五輪の聖地でメダルラッシューー。八月にギリシャのアテネで開かれる夏季五輪。ブラジルからも数多くの競技者が参加するが、期待を集める競技の一つが「JUDO(柔道)」だ。一九七二年のミュンヘン五輪で銅メダルを勝ち取った石井千秋さんに始まるブラジル柔道のメダル数は、金銀銅合わせて十個。今回の五輪ではすでに代表が決定している八人に加え、二十日からヴェネズエラで始まるパンアメリカン大会の結果でさらに代表が増えそうだ。「史上最強メンバー」の呼び声が高い、ブラジル柔道代表。石井さんも「組み合わせ次第だがかなり期待できるはず」と熱い視線を送る。(下薗昌記記者)
 戦前の日系移民によって地道な指導が続けられ、種が蒔かれてきたブラジル柔道界。最初に国際的な注目を得たのが七二年に石井さんが勝ち取った銅メダルだった。石井さんは言う。「ブラジルからの選手でもやれば,国際的に勝てるという証明が出来た」。
 以来、八四年のロス大会では銀一、銅二、八八年のソウルと九二年のバルセロナではそれぞれ金一を得るなどブラジル柔道は着実な進歩を示してきた。合計十個のメダル数は、五輪におけるブラジル各種競技では三番目の位置を占める。
 今回の五輪では、二〇〇〇年のシドニー大会で、銀メダルに終わった男子カルロス・オノラト(九〇キロ級)とマリオ・サビーノ(一〇〇キロ級)に金メダルが期待できると石井さんは分析する。
 また、昨年のパンアメリカン大会で金メダルを得たダニエル・エルナンデス(一〇〇キロ超級)も好選手の一人だ。
 完全に非日系選手で占める男子に対し、女子は二人の日系人が存在感を見せ付けている。すでに代表を勝ち取っているヴァニア石井(六三キロ級)は石井さんの三女。シドニー五輪では七位に終わったが、昨年の世界選手権でも五位に食い込むなどメダルが狙える好選手だ。「実力的には十分。あとは組み合わせ次第」と父、石井さんも太鼓判を押す。
 一方、五二キロ級ではファビアーネ福田が二十日から開かれるパンアメリカン大会に代表の座をかけて出場する。「五輪出場しか考えていない。優勝するために、この大会に出る」と福田は力強く語る。
 すでに五輪出場を決めている八人に加え、パンアメリカン大会の結果次第では、福田ら五人もアテネ行きを決めることになる。
 銀二に終わったシドニー大会を上回ることを目標に定めるブラジル柔道協会(CBJ)。石井さんも「組み合わせや運などが絡むのでメダル獲得は簡単ではない。ただ、大いに期待が持てる大会になる」と熱い視線を送る。
 聖地アテネにブラジル国旗がたなびく回数が、今から楽しみだ。