有名難関大に22人合格=赤間高等部=第一回生が「好結果」

4月23日(金)

 日系最古の学校で生徒の九割を日系人が占める赤間学院(赤間晃平アントニオ理事長)が三年前に設立したピオネイロ校高等部(カワハラ・フェルナンド校長)の第一回卒業生四十二人の内二十二人、五十パーセント以上が、一流大学に現役合格したことがこのたび明らかになった。合格した大学はUSP、UNESP、FGV、UNICAMPなどの超難関校。ほとんどが中等部からの入学者で、同校では人格形成教育を最優先、進学高校のような詰め込み教育などは行っていない。赤間理事長は「幼年部からグループ活動に重点をおいており、自分で考えて行動する基礎になっている。それが今回の好成績につながったのでは」とみている。

 日系のコレジオでピオネイロ校のように高校部を設けているところはまだ珍しい。そんな中で、同校は第一回卒業生から早くも「結果」を出した。
 赤間澄子学院長は「うちの生徒は伝統的に数学に強く、毎年のように金メダルを取っている。昨年は六年と八年生の部で金メダルを取った。数学オリンピックは計算の早さを争うものではなく、応用問題主体。考えて解くところに重点をおいている我々の教育が結果として現れている」と分析する。
 サンパウロ州で行われる数学オリンピックはサンパウロ科学院が主催。対象は小・中等科の六年生と八年生、高等科の二年生。サンパウロ州内から五百校、十五万人が六月の第一期試験、九月に二期試験に参加。十二月の最終審査は五百人で競われる。毎年のようにオリンピックで金メダルを獲得し、数学に強い学校として名を轟かせているのが同校だ。
 川原フェルナンド校長は「各クラスの生徒数は三十人以下で、先生の目が行き届く。またいつもグループ活動主体の教育をしており、グループで研究テーマを決め、分担して進めていく」と、進学校とは全く違うタイプの教育法であることを強調。「毎日午後、自主的に復習や疑問のある生徒は、学校に残って当直の先生に指導してもらえる。午後にも自習している生徒が結構いますね」
 一方、「父兄にはグループ活動訓練ができているので、卒業生は立派な社会人になれる」とも。
 赤間理事長は「うちの物理の先生が有名進学高校から魅力的な勧誘されたことがあったが、その先生は断った。数学の強いこの学校の生徒には、物理を集中して教えられるが、他校では数学から教えなければいけない」と話している。
 財団法人赤間学院の創設者赤間みちえさんは、一九三〇年渡伯。三三年サンパウロ洋裁女学校を創立。三五年日本語小学部、実科高等女学校を増設。三七年ポルトガル語部を新設して連邦政府公認の私立学校となった。七一年には日系初となる連邦政府教育省公認のピオネイロ校を設立。〇一年に高等部を創立した。幼年部、小中等部と高等部で構成される同校の全校生徒は八百二十人。