コラム 樹海

 陸・海・空の三自衛隊が発足してから今年で五十周年を迎える。吉田茂首相が警察予備隊を発展的に解消し創設したもので初代長官は木村篤太郎氏。当時は社会党などの反対もあり激しい論争が展開されもしたが、近ごろは自衛隊への好意的な見方が強まっているのは心強い。イラク派遣が決まると志願する隊員が殺到したそうだし、国の安全を守るの士気も極めて高い▼だが―自衛隊を取り囲む環境は必ずしも最高とは申し難い。一つは防衛庁であって「省」ではないこと。二つは、階級の呼称である。あの大東亜戦争の悪い印象が強く残っていたせいもあり一等兵や少尉もなくなり陸尉や陸佐などに変更されてしまった。海自隊では「護衛艦」としているが、昔なら駆逐艦だし、空自隊が「支援戦闘機」も本来ならば戦闘攻撃機の方が国民にはわかりやすいのではないか▼芥川龍之介だったかに「軍人には勲章がよく似合う」があるけれども、今の自衛官には退官するまで勲章は授与されない。退官しても制服組の陸将や海将・空将であっても勲一等はこれまでに一人もいない。こんな例は世界中どこにもない。かってブラジルを訪問した練習艦隊の首席幕僚と話したときにも「勲章がないので外国の将官らと懇談するときに気が引けるような感じがする」と語っていたが、偽らざる本音であろう▼イラクに派遣されている番匠幸一郎一佐にしても「番匠大佐」の方が通りがいいし、自民党も検討中だそうだが、自衛隊用語の抜本的な見直しを図るべきだ。(遯)

04/05/06