「島唄」の宮沢さんが100周年ソング?=ブラジル熱愛=依頼次第=8月、サンパウロ市で公演=日系人向け 自腹で旅費工面

7月3日(土)

 世界各国に広がり始めた『島唄』を引っさげて、日本のロックバンド「ザ・ブーム」のリーダー、宮沢和史さん(かずふみ、38、山梨県出身)が、日本移民百周年へのワン・ステップとして、八月八日に日系人向けコンサートをすることが決まった。ブラジルを熱愛する宮沢さんだけあって、今回は自腹で旅費を工面しての来伯。コンサートの盛り上がり次第では、百周年のテーマソングの作詞作曲も引け受けてくれるかもしれないとの推測も流れている。
 海よ、宇宙よ、神よ、命よ――。
 百五十万枚を売り上げた大ヒット曲『島唄』の歌詞は壮大だ。沖縄・本土はもとより、亜国の歌手アルフレド・カセーロさんが日本語でCDに吹き込み、大人気を博し、〇二年四月のガルデル音楽大賞(日本のレコード大賞に相当)の三部門を受賞した。ついには、同年のワールドカップ亜国代表の応援ソングに選ばれたことも記憶に新しい。
 カセーロさんは授賞式で「これは宮沢がもらうべきもの。彼に渡すよ」と語ったそう。同年四月末に宮沢さんが訪亜した際、実際にそのトロフィーを渡された。意気投合した二人は、ブエノスアイレスの日本庭園でコンサートを開き、約五千人の観客を前に熱唱したという。
 〇二年のNHK紅白歌合戦にはザ・ブームと共にカセーロさんも出演した。その後、チリで同曲を収録したCDも発売され、この七月にはメキシコでもバンドHIKURUによって収録発売される。昨年は英国で歌手IZZYが英語版を歌い、現在は中国で女性歌手がヒットさせているという。ポーランド、ドイツ、ポルトガルにも『島唄』旋風は上陸しているそう。
 コンサートの下準備のために来伯した、宮沢さんが所属する音楽事務所、ファイブ・ディー事務所の三好伸一常務取締役は二日午後来社し、「これを機会に、日本移民百周年に向けてブラジルでも『島唄』が広まってくれれば」と期待を込めて語った。
 七月下旬にユニバーサル・ミュージック社から「MIYAZAWA-SICK」というCDが発売される。過去にだされた四枚のソロCDのベストアルバムで、十四曲を収録。『島唄』はもちろん、沖縄を大好きな宮沢さんならではの『沖縄に降る雪』『チムグリ』などの沖縄音階の曲も入っており、〃宮沢エッセンス〃たっぷりだ。
 八月八日にサンパウロ市のSESCポンペイアで行われるコンサートでは、宮沢さんを含めて十一人からなるMIYAZAWA-SICKバンドが公演する。有名なギター奏者の高野寛さん、コーラスのアルゼンチン沖縄系二世の大城クラウジアさん、〃パンデイロの王様〃マルコス・スザノさんなど、国際色豊かな編成となる。
 コンサートの総合プロデューサーでもある三好さんは「日系人の方に盛り上がって頂きたくて企画しました。まずは彼の音楽を実際に聞いてもらって、お互いに感動したら、きっと百周年にもつながる面白いことができるのでは」と語る。
 音楽界きってのブラキチで知られる宮沢さんだけに万が一、百周年のテーマソングを作曲するならば、日伯両国での弾みがつき、一気に祭典の知名度が上がることは間違いないだろう。
 ただし、しかるべき代表団体から依頼があれば、との条件があり、今回のコンサートの集客や盛り上がりにも影響されそうだ。今公演の後援をするブンバ編集部の細川多美子さんは「とにかくこっちで楽しく盛り上がりましょう」と呼びかけた。