ホーム | 日系社会ニュース | 滞在費自己負担 公演報酬なし=「心の交流できれば嬉しい」=歌手の中平さんが着聖

滞在費自己負担 公演報酬なし=「心の交流できれば嬉しい」=歌手の中平さんが着聖

7月7日(水)

  十一日の文協ドミンゴ・コンサートを控え歌手の中平マリコさん、編曲家の佐々永治さん二人が来伯した。「終戦の日に贈る日本人の心の歌」(八月十五日、文協)に出演するほか、憩いの園、県連のフェスチバル・ド・ジャポンでも歌声を披露する予定。一ヶ月以上の長期滞在になるが自己負担、公演報酬も一切受け取らないという。
 「心の交流ができれば嬉しい。皆様に身近に感じてもらえる舞台にしたい」と中平さん。来伯のきっかけを作ったのは元駐在員夫人だった。二年前、日本での恒例コンサート。中平さんの歌唱力と人間性にたちまち感銘を受け、「ブラジルの人たちにも、この歌を聞かせてあげたい」と思った女性がいた。
 駐在員の夫に付き添いブラジルに滞在したことのある篠崎由貴子さんだ。篠崎さんの熱いオファーに「是非行って歌いたい」。二つ返事で応えた。
 五日に着いたばかりだが、「もっと前から来ていた気がする」。ドミンゴ・コンサートを主催する文協音楽委員会の羽田宗義さんから、「自分の故郷に帰ってくる気持ちでお越し下さい」と言われたことで、ブラジルをさらに身近に感じた様子。
 「日系社会には、日本人が忘れてしまった大切な心が今でも残っている」と中平さんはみる。「現在の日本は自分さえよければいいという風潮があるけど、こっちではコンサートにみんなが食料を持ち寄って、それを寄付したり、他人のことも大切にしている。そういったよい部分を頂いて帰りたい」。
 一方、美空ひばりの編曲を多数手掛けたことでも知られるのが佐々さん。昨年、文協であった終戦記念歌謡コンサートのビデオを日本で鑑賞し、「若い子が軍歌を歌う姿に自分の若いころを思い出した」と語る。
 日本では歌われなくなった歌が、今でも大切に歌われていることに感動した。「ブラジルに行くことで何か得られるものがあるのではないか」と、前立腺ガンの体に鞭打ち今回の来伯を決心した。
 コンサートではピアノ演奏を担当する。
 「私は味付けをさせていただきますので、よろしくお願い致します」と佐々さんは微笑んだ。
 ドミンゴ・コンサートは午前十一時から文協大講堂にて。入場は無料。
 問い合わせは11・3208・1755(文協)まで。

image_print