コラム 樹海

 日本に世界で一番大きな銀行が誕生する。四千億円もの赤字で経営陣が辞任に追い込まれたりと陰りが見えていたUFJが、三菱東京に合併を申し入れ経営を統合し巨大な金融機関を設立するという。新しい銀行の総資産は百九十兆円と世界最大の規模となる。約八十兆円(一般会計)の日本の予算と比べれば、三菱UFJの大きさがよくわかろう▼日本には資金需要に対して銀行が多すぎるの声があったし、この統合再生を好機としさらなる金融再編へと繋げ国際的な競争にも勝てるような銀行を育てたい。これまでは「儲からない銀行」と批判されてきたけれども、融資だけではなく金融派生商品の開発や投資機能をも強くしなくてはなるまい。「座っていても儲かる」の時代はもう過ぎ去った▼バブルに酔って土地融資にのめり込んで不良債権という傷を受けたの記憶は新しい。その古傷が癒えないままの金融再編はいささか寂しいけれども、統合や合併で生き残る道も大切な選択肢である。今回はメガバンクだが、地方銀行や零細な信用金庫なども基盤確立のために手を握りあい安定路線を目指すのは大いに結構な話である▼欧米の銀行は高度な金融技術に磨きをかけ証券などいろんな分野に進出し収益を上げている。こうした面での競争力でも日本は出遅れているのは否定できない。もう単純な融資業務だけではなく証券やデリバティブなど複雑な商品と取り組むことが欠かせないし三菱とUFJの統合が斬新で画期的なものになると期待したい。 (遯)

04/07/17