心配する東洋人街住民=〝屋根なし〟の不法占拠

8月3日(火)

  セン・テットにリベルダーデ区騒然――。都市部の廃屋などを不法占拠するMTST(屋根なし労働者運動)に関係するとみられるグループ約百五十人が七月三十一日未明、バロン・デ・イグアッペ街280番の建築廃墟に侵入した。さらなる侵入を防ごうと同街一体を封鎖した軍警との間でにらみ合いを続けたことで、リベルダーデ区の近隣住民に緊張感が走った。
 同運動メンバーは、今年五月からサンジョアキン街の中学校廃屋も占拠し続けており、区内では今年二件目。伯字紙によれば、その一部も合流している。
 同イグアッペ街の廃墟は中国人が所有するもので、二十年以上前に建設が始まったが、地盤の弱さなどから建物が傾斜。一九八八年ごろからは放置されたままで、周囲には高い壁が築かれていた。
 同日午前一時ごろから、廃墟に侵入を始めたメンバーの動きを警戒する軍警が、廃墟前の道路を約五十メートルに渡って封鎖。後から廃墟に侵入しようとして、軍警に取り押さえられる仲間を見たメンバーからは「国家権力の犬め」「食べ物をよこせ」などと罵声を飛ばす場面を見られた。グローボ局などの中継車もやってくるなど、一時は野次馬などで騒然とした雰囲気が続いた。
 二日現在、占拠が続く建物にはメンバーらが生活用品などを運び込むなど長期化の構えを見せている。廃墟の二件隣にある「カンガルー幼稚園」の園長、ウエムラ・サユリさんは「休み明けで今日、知ったばかり。こんなところにまさか」と驚きを隠さない。同園には現在、日系二十人を含む約四十人の児童が通うが今のところ心配はしていない。「うちはセキュリティーもしっかりしているから大丈夫でしょう」とウエムラさん。
 同じく廃墟の並びにある健康食品販売店を経営する広瀬裕さんは、長期化への懸念を示す。侵入があった三十一日朝、店の前一体が軍警によって封鎖されているのを見て驚いた。「何があったんだとビックリしました。まあ、一般市民に悪さはしないと思うが、早く出て行って欲しい」と話していた。