コラム 樹海

  古代オリンピックの歴史は古い。紀元前776年から紀元後393年までだから遠い遠い昔の話である。当時の選手たちは男性ばかりで女性はいない。これはクーベルタン男爵の尽力で始まった近代五輪の第一回アテネ大会も同じであり選手は男性ばかりだった。女性が出場するようになったのは第二回目のパリ大会からなのも驚く。あそこは女性の国だから解らぬではないが―▼さて明日から開幕するアテネ五輪は二〇二カ国・地域から選手らが参加する最大のスポーツ大会となる。日本もブラジルの代表団も選手村に入り本番に備えての練習に懸命だが、この大会には治安の問題が重くのしかかっていて不安も尽きない。警備にはNATOも出動し空と海を守り、生物・科学兵器によるテロの防御と対策に取り組む▼関係者も治安には頭を痛めているのは事実だが、選手団の不安は消えない。ギリシャはシドニー大会の四倍にもなる1350億円を投じ警戒を強めてはいる。これまでにもテロに襲撃されたオリンピックは幾つかある。七二年のミュンヘン大会では、パレスチナのゲリラが選手村を襲いイスラエウ選手やコーチら十一人を殺害するという惨事となった▼アテネ大会もイスラム過激派から攻撃の可能性は高い。米英とイスラエルが「危険度の高い国」だそうだが、日本も第二ランクにされ危険さは同じである。日本選手団には警察庁から専門家がつくそうだが、こんな「危ないオリンピック」では選手らの記録が伸び悩むのではないかといささか心配にもなる。   (遯)

04/08/12