愛息の勇姿に父涙―=闘莉王、五輪初戦敗れる

8月14日(土)

  愛息の勇姿に父涙――。十二日に行われたアテネ五輪男子日本代表の初戦、パラグアイ戦をスタンドで見守った田中マルクス闘莉王選手の父、隆二さん(二二世、51)は時事通信によると息子と同じ背番号「2」のユニホーム姿で、声援を送った。
 十六歳で闘莉王が日本に渡った後、生で試合を見るのは初めての機会。トゥーリオがんばれ」と書かれた横幕と十字架、小さな聖書を持参したという。
 人口わずか一万人と小さな町であるパウメイラ・ドオエステ市出身の闘莉王だけに町の誰もが知る存在。「街の人たちの応援の気持ちをすべて持ってきました」と隆二さん。試合前には母国ブラジルを破って出場権を得たパラグアイに対し「仇を取ってくれよ」と激励。自らも大のサッカー狂だけに、時折立ち上がるなど熱のこもった声援を送ったが、敗戦が決まると、うつむいてしばらくタオルで涙をぬぐい続けた。
 「息子が初めて日本の代表で試合に出たうれしさと、試合に負けた悔しさです」と隆二さん。「でも、頑張った。早く切り替えて次の試合に臨んでほしい」と十五日のイタリア戦に期待を込めた。