米州各国議会制度等調査議員団=19日に来伯=経済交流の気運盛上げ=武部元農水大臣ら会見「渡辺先生の遺志を継ぐ」

8月20日(金)

  百周年に向け、日伯両国間の関係強化の気運を盛り上げたい――。米州各国議会制度等調査議員団が十九日、サンパウロに到着した。団長を務める武部勤元農林水産大臣ら四人の衆議院がニッケイ新聞の取材に応じ、期待が高まる両国の経済交流の展望や日系社会への思い入れなどを語った。
 同日朝到着したのは、武部団長(自民)を始めとする小坂憲次(同)、村田吉隆(同)、小林興起(同)、藤村修(民主)、一川保夫(同)、安住淳(同)、西博義(公明)、大野松茂(自民)、小渕優子(同)の計十衆議。会見には武部団長以下、藤村、小坂、小渕の三衆議も同席した。
 以前、北海道協会の六十周年記念式典に来賓として招かれた武部団長は、二度目の来伯。第一次小泉政権で農林水産大臣を務めた同団長は、今後の日伯両国の経済交流について「低調だった八〇、九〇年代を経て、再び気運が盛り上がって欲しい。今回我々が来伯したのもそうしたきっかけにしたいから」と期待を込めた。
 また、今年五月には経団連が日本政府に対し、日伯両国のFTA締結を求めたことについても「まずはWTOの中で包括的な議論を深めることが日本にとって優先される」としながらも
「ブラジルはいわば日本にとって同盟国のようなもの。政治的、経済的に結び付けば双方にとってメリットになる」と話した。
 セラード開発に道筋をつけ、ブラジルシンパとして知られた故渡辺美智雄衆議に師事した武部団長だけに「大臣時代にもブラジルを視察したいと思っていたが叶わなかった。渡辺先生の遺志を継ぐというぐらいの気持ちを持っている」と力強く語った。
 また藤村衆議は三十一回目の来伯。かつて勤務した日本航空時代に三度の来伯経験がある小坂衆議は「日系人の皆さんのご活躍ぶりをしっかりみて、二〇〇八年に迎える百周年を盛り上げるお手伝いをしたい」と語った。
 ブラジル通として知られた故小渕恵三首相の実子、小渕衆議は初めての来伯ながら「父にとっては思い出の地。三十数年前から交流していた父の友人が、空港に出迎えてくださった」と笑顔を見せていた。
 一部議員を除く議員団は十九日午後、移民史料館やイビラプエラ公園の開拓先没者慰霊碑を訪れたり、日系各団体と懇談したりした後、二十日にはブラジリアで政府関係者と会談し、二十三日にブラジルを出発する。